ネットワークプロファイルとは
network profile(ネットワーク・プロファイル)は、OSがネットワークの場所や用途に応じて、共有やファイアウォール設定を切り替える区分です。ここではWindows Defender Firewallで使われるDomain・Private・Publicの三つを中心に説明します。
Windowsは接続中のネットワークを識別し、その接続に当てはまるプロファイルのファイアウォール規則を適用します。家庭内共有のように許可したい通信と、公共Wi-Fiで外部から受け付けたくない通信を、場所に応じて切り替えるための仕組みです。
プロファイルはネットワークそのものを安全にする機能ではありません。「この接続では、端末へ入ってくる通信をどの規則で扱うか」をOSへ伝える区分です。

三つのプロファイル
参加中のActive Directoryドメインのコントローラーへ到達して認証できると、Windowsが自動適用します。
家庭や管理された小規模職場など、既知の端末との共有を意図するネットワークで使います。
空港、ホテル、店舗など他の参加者を把握できない場所で、受信通信をより制限する基準です。
Network Location Awarenessなどが、接続状態と識別情報から適用先を判断します。
同じアプリの規則でもDomainだけ許可し、Publicでは拒否するように範囲を分けられます。
Windowsの設定画面ではPrivateで有効にしやすく、Publicでは無効を基本とする案内が行われます。
Publicは「インターネット接続」、Privateは「非公開IP」ではない
ここでのPublicとPrivateは、IPアドレスのグローバル・プライベート分類とは別です。家庭のルーターからプライベートIPアドレスを受け取っていても、Windows側でそのWi-FiをPublicプロファイルとして扱えます。
また、Publicへ変えても回線が公衆回線になるわけではありません。Privateへ変えてもインターネットから見えなくなる保証はありません。NAT、ルーターのポート転送、VPN、クラウド側の設定などは別の層です。
Domainは利用者が自由に選ぶ区分ではない
Domainプロファイルは、端末が組織のActive Directoryドメインへ参加し、接続中のネットワークからドメインコントローラーを認証できるときに自動適用されます。家庭のワークグループ名やWebサイトのドメイン名とは別です。
社外へ持ち出すと同じPCでもPublicまたはPrivateになり、組織VPNへ接続したインターフェースには別の判定が行われることがあります。組織管理端末ではグループポリシーやMDMにより、利用者が区分やファイアウォール設定を変更できない場合があります。
ファイアウォールはどのプロファイルでも有効が基本
Privateだからファイアウォールを無効にする、という意味ではありません。Windows Firewallは各プロファイルで有効にしたまま、必要なアプリ、ポート、相手アドレスだけを規則で許可する構成が基本です。
「ファイル共有を許可する」という一つの規則にも、適用プロファイル、通信方向、プロトコル、ポート、ローカル・リモートアドレス、プログラムなどの条件があります。プロファイルをPrivateへ変えただけで、すべての受信通信が許可されるわけではありません。
複数の接続は別々に考える
有線LANをDomain、Wi-FiをPublic、VPNをPrivateとして同時に持つ場合があります。Windows Firewallは通信が通るインターフェースや適用条件に応じて規則を評価します。設定画面に表示された一つの名称だけを見て、全通信の扱いを決めつけないようにします。
仮想マシン、コンテナー、モバイルホットスポット、VPNソフトウェアは仮想アダプターを追加することがあります。意図しない接続が残っている場合は、アクティブなプロファイルとアダプターを対応させて確認します。
変更しても変わらないもの
プロファイルを変えても、Wi-Fiの暗号方式やパスワード、ルーターの安全性、Web通信のHTTPS、IPアドレス、DNS設定、回線速度は直接変わりません。通信相手が正規の相手かどうかを認証する機能でもありません。
共有へつながらないときは、対象ネットワークが信頼できることを確認したうえで、プロファイル、Network Discovery、File and Printer Sharing、個別のファイアウォール規則、共有権限、サービスの稼働を順に確認します。解決のためにファイアウォール全体を停止すると、原因を切り分けにくく危険です。
迷った接続はPublicを基準にする
同じネットワークに誰が参加しているか分からない場所はPublicが適しています。自宅で管理しているルーターと接続端末を把握し、端末探索やファイル共有が必要な場合にPrivateを選びます。
名称が「Home」「Office」であることだけでは信頼の根拠になりません。偽のアクセスポイントは似たSSIDを名乗れます。接続先の確認、HTTPS、VPN、共有停止、OS更新などと組み合わせます。
ネットワークプロファイルは、Windows Firewallの規則を接続環境ごとに選ぶための区分です。Public・Private・Domainを、IPアドレスの種類や通信の暗号化と混同せず、接続ごとの信頼範囲として使います。
Domain・Private・Publicプロファイルと規則の適用:Microsoft Learn「Windows Firewall overview」、プロファイルごとの設定項目:Microsoft Learn「Set-NetFirewallProfile」