共用サーバーとは
共用サーバーは、一台または一つの環境の資源を複数利用者で共有するサーバー提供形態です。レンタルサーバーでよく使われる方式で、一つのOSやWeb実行環境を事業者がまとめて管理し、契約者ごとにサイトやメールの領域を分けます。
共有する対象は、物理CPU、メモリ、ストレージ装置、ネットワーク回線、OS、Webサーバー、データベース基盤などです。一方、ファイルの所有者、ログイン資格情報、ドメイン設定、データベース、メールボックスは、契約者ごとの権限で隔離します。
「共有」は全利用者が互いのファイルを読めるという意味ではありません。同じ基盤を効率よく使いながら、OSのアカウント、プロセス、権限、サービス側の制限で利用者を分ける方式です。

共有する資源と分ける情報を対応させる
一つのIPで複数サイトを受けられる
ブラウザーはHTTP要求のHost情報やTLS接続のSNIで、アクセスしたいホスト名を伝えます。Webサーバーはその名前を仮想ホスト設定と照合し、同じIPアドレスへ到着した要求でも異なるドキュメントルートへ振り分けます。
そのため「同じIPアドレスを使うサイトがある」こと自体は異常ではありません。ただし、IP評判、メール送信、DDoS対応など、共有IPの影響を受ける機能もあります。専用IPが必要な理由を機能単位で確認します。
隣の利用者の負荷を抑える制限がある
同じ基盤の一契約がCPU、メモリ、ディスクI/O、同時接続を使い切ると、他契約へ影響します。事業者はプロセス数、実行時間、転送量、メール送信数、データベース接続数などを制限し、急な高負荷を停止することがあります。
この影響はnoisy neighbor(ノイジー・ネイバー)問題と呼ばれます。性能が常に均等に分割されるとは限りません。サイトが遅いときは、アクセス数だけでなく、CPU制限、I/O待ち、同時実行、外部API、データベースを分けて測ります。
OSを自由に変更できない理由
一つの環境を複数利用者が使うため、契約者がOS全体の設定や常駐サービスを自由に変更すると他契約へ影響します。共用サーバーでは事業者がルート権限を保持し、利用者には管理画面、SFTP、限定されたSSH、言語設定などを提供します。
独自デーモン、特殊なネットワーク設定、任意のOSパッケージが必要なら、VPSや専用環境を検討します。ただし自由度が上がるほど、更新、監視、侵入対策、障害復旧も利用者側へ移ります。
公開領域と権限を自分でも管理する
他契約者との分離があっても、自分のパブリック_HTMLへバックアップや秘密鍵を置けばWebから公開される恐れがあります。ファイル・ディレクトリ権限を必要以上に広げず、CMSの設定ファイル、アップロード領域、実行可能領域を分けます。
FTPの平文接続を避け、SFTPまたは事業者が指定する保護された方式を使います。管理画面、CMS、メールは別の強いパスワードと多要素認証を使い、不要なアカウントを削除します。
向くのは標準構成で運用できるサイト
静的サイト、一般的なCMS、小規模なWebアプリ、メールなど、事業者が用意した実行環境に合う用途では、初期設定と保守負担を抑えられます。料金だけでなく、対応言語版、同時実行、バックアップ、ログ、サポート、移行方法を確認します。
共用サーバーを選ぶ判断軸は「安いか」だけではなく、「必要な設定が提供範囲に収まり、負荷上限と事業者の管理範囲を受け入れられるか」です。
共有基盤とWeb運用の確認資料:NIST SP 800-125A Rev.1(仮想化基盤の隔離)、Apache HTTP Server Virtual Host Documentation、IPA「安全なウェブサイトの作り方」