用語辞典・サーバー・Web運営

共用サーバー

共用サーバーとは

共用サーバーは、一台または一つの環境の資源を複数利用者で共有するサーバー提供形態です。レンタルサーバーでよく使われる方式で、一つのOSやWeb実行環境を事業者がまとめて管理し、契約者ごとにサイトやメールの領域を分けます。

共有する対象は、物理CPU、メモリ、ストレージ装置、ネットワーク回線、OS、Webサーバー、データベース基盤などです。一方、ファイルの所有者、ログイン資格情報、ドメイン設定、データベース、メールボックスは、契約者ごとの権限で隔離します。

「共有」は全利用者が互いのファイルを読めるという意味ではありません。同じ基盤を効率よく使いながら、OSのアカウント、プロセス、権限、サービス側の制限で利用者を分ける方式です。

一つの基盤を複数の契約区画へ分け、共通資源から各サイトへ必要量を渡す利用者の領域は分離しても、基盤の性能と保守は共有する
一台の大型サーバーが四つの施錠された契約区画に分かれ、共通の処理能力、メモリ、保存棚、回線を使う共用サーバーのピクトグラム図解
図1実際の分離方法は事業者ごとに異なります。コンテナーや追加の隔離技術を使う場合もありますが、契約者が物理機全体を占有する方式ではありません。

共有する資源と分ける情報を対応させる

同じ基盤に置かれるものを、共通管理と契約者別管理へ分解する分離の単位は物理機ではなく、アカウントとサービス設定
CPU・メモリー処理能力を共有

同時実行量や一契約あたりのCPU時間、メモリ、プロセス数に上限が付く。

保存領域装置は共有、領域は分離

容量、ファイル数、I/O量を契約別に計測し、ファイル権限で他契約から隔離する。

ネットワーク回線とIPを共有し得る

一つのIPで複数ドメインを受け、HostやTLSのSNIで対象サイトを選ぶ。

OS・実行時事業者が版を管理

契約者はルート権限を持たず、提供されたPHPやデータベースの版から選ぶことが多い。

コンテンツ公開内容は利用者が管理

ドキュメントルート、CMS、画像、設定、アカウント、個人情報は設置者の責任になる。

operations障害範囲は重なる

基盤の保守・再起動・障害は複数契約へ影響し、復旧は事業者の手順に従う。

図2共用基盤の保守を事業者へ任せられても、設置したCMSや公開データまで自動で管理されるとは限りません。

一つのIPで複数サイトを受けられる

ブラウザーはHTTP要求のHost情報やTLS接続のSNIで、アクセスしたいホスト名を伝えます。Webサーバーはその名前を仮想ホスト設定と照合し、同じIPアドレスへ到着した要求でも異なるドキュメントルートへ振り分けます。

そのため「同じIPアドレスを使うサイトがある」こと自体は異常ではありません。ただし、IP評判、メール送信、DDoS対応など、共有IPの影響を受ける機能もあります。専用IPが必要な理由を機能単位で確認します。

隣の利用者の負荷を抑える制限がある

同じ基盤の一契約がCPU、メモリ、ディスクI/O、同時接続を使い切ると、他契約へ影響します。事業者はプロセス数、実行時間、転送量、メール送信数、データベース接続数などを制限し、急な高負荷を停止することがあります。

この影響はnoisy neighbor(ノイジー・ネイバー)問題と呼ばれます。性能が常に均等に分割されるとは限りません。サイトが遅いときは、アクセス数だけでなく、CPU制限、I/O待ち、同時実行、外部API、データベースを分けて測ります。

OSを自由に変更できない理由

一つの環境を複数利用者が使うため、契約者がOS全体の設定や常駐サービスを自由に変更すると他契約へ影響します。共用サーバーでは事業者がルート権限を保持し、利用者には管理画面、SFTP、限定されたSSH、言語設定などを提供します。

独自デーモン、特殊なネットワーク設定、任意のOSパッケージが必要なら、VPSや専用環境を検討します。ただし自由度が上がるほど、更新、監視、侵入対策、障害復旧も利用者側へ移ります。

公開領域と権限を自分でも管理する

他契約者との分離があっても、自分のパブリック_HTMLへバックアップや秘密鍵を置けばWebから公開される恐れがあります。ファイル・ディレクトリ権限を必要以上に広げず、CMSの設定ファイル、アップロード領域、実行可能領域を分けます。

FTPの平文接続を避け、SFTPまたは事業者が指定する保護された方式を使います。管理画面、CMS、メールは別の強いパスワードと多要素認証を使い、不要なアカウントを削除します。

向くのは標準構成で運用できるサイト

静的サイト、一般的なCMS、小規模なWebアプリ、メールなど、事業者が用意した実行環境に合う用途では、初期設定と保守負担を抑えられます。料金だけでなく、対応言語版、同時実行、バックアップ、ログ、サポート、移行方法を確認します。

共用サーバーを選ぶ判断軸は「安いか」だけではなく、「必要な設定が提供範囲に収まり、負荷上限と事業者の管理範囲を受け入れられるか」です。

共有基盤とWeb運用の確認資料:NIST SP 800-125A Rev.1(仮想化基盤の隔離)Apache HTTP Server Virtual Host DocumentationIPA「安全なウェブサイトの作り方」

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