専用サーバーとは
専用サーバーは、一台の物理サーバーを特定の利用者が専有する提供形態です。CPU、メモリ、ローカルストレージ、ネットワークインターフェースなど、契約した物理機の資源を他契約者のOSと分けずに使います。
英語ではdedicated server(デディケーテッド・サーバー)、仮想化層を前提とせず物理機を直接提供するサービスはbare metal server(ベアメタル・サーバー)とも呼ばれます。ただし、名称と管理範囲は事業者ごとに確認が必要です。
物理機を占有しても、データセンター、電源、上流回線、保守担当まで専有するわけではありません。また「専用」だけで高性能・高可用・安全が自動的に決まるものでもありません。

占有と管理委託を分ける
- 01設備と物理設置
事業者がラック、電源、空調、上流回線、入退室、物理交換を担当することが多い。
- 02ハードウェア構成
CPU、メモリ、ディスク、RAID、NICを契約時に選び、増設可能範囲と交換時間を確認する。
- 03遠隔管理
電源操作、画面、仮想メディアを扱う管理口は、公開ネットワークから分離して強く認証する。
- 04OSとミドルウェア
自己管理なら利用者が更新・設定・監視する。マネージド契約なら対象と対応時間を確認する。
- 05アプリとデータ
利用者が権限、脆弱性、公開範囲、バックアップ、法令・規約への適合を管理する。
- 06障害時の復旧
部品交換、代替機、データ復元、DNS切替、連絡経路、目標復旧時間を手順にする。
性能は物理構成を読める
他契約者のVMへCPU時間やメモリを割り当てないため、性能の変動要因を減らせます。CPU型番・コア数、メモリ容量、NUMA、SSD、RAID、NIC速度など、物理構成とワークロードを直接対応させやすくなります。
ただし、アプリが一つのコアしか使わない、データベースがディスク待ちになる、外部APIが遅い、上流帯域が制限される場合は、物理機を大きくしても改善しません。CPU、メモリ、I/O、ネットワーク、応答時間を別に測ります。
空き容量も契約中は固定費になる
専用サーバーではピークへ合わせて物理資源を用意し、通常時に使わない容量も保持します。メモリやディスクを増設できても、作業停止、部品在庫、筐体上限があります。急な縮小にも物理契約の変更が必要です。
安定した高負荷、ライセンスや装置の要件、特殊なストレージ、性能予測のしやすさを重視する用途に向きます。短期間で増減する用途ではクラウドサーバーの弾力性と比較します。
一台の故障を止めるには別の一台が必要
RAIDは一部ディスク故障へ備えますが、マザーボード、電源系統、OS、誤操作、ラック障害、データ破損まで一台で防ぐものではありません。RAIDはバックアップの代わりでもありません。
可用性が必要なら、別の物理機、別電源、別ラック、負荷分散、データ複製、監視を組み合わせます。二台に増やしても同じ設定誤りや削除が複製されるため、履歴を持つバックアップは別に必要です。
遠隔管理口をインターネットへ露出させない
専用機にはOSが停止していても電源・画面・仮想メディアを操作できるBMCなどの管理機能があります。強力なため、管理ネットワーク、VPN、接続元制限、多要素認証、更新、監査ログで保護します。
OSのSSHやWeb管理画面とは別の資格情報を使い、初期パスワードを変更します。事業者サポートが一時的にアクセスする手順と、作業後の権限解除も決めます。
機器交換とデータ消去までが利用期間
部品故障時に同等機へ交換できる時間、故障ディスクを事業者が持ち出すか、媒体を破壊できるかを確認します。暗号化しておけば、媒体交換時のデータ露出を抑えられますが、鍵のバックアップと失効管理が必要です。
解約や更改では、新環境へデータを同期し、DNSを切り替え、ログとバックアップを回収し、旧媒体の消去証跡を確認します。物理構成固有のOSやドライバーが移行先で動くかも試します。
専用サーバーの価値は「一台を自分だけで使うこと」です。その一台を止めない、直す、交換する、データを戻す設計は別に用意します。
サーバー仮想化との境界と運用の確認資料:NIST SP 800-125(Full Virtualization)、IPA「安全なウェブサイト運用管理に向けての20ヶ条」