用語辞典・ネットワーク機器

UPS

UPSとは

UPSは、停電や瞬断時にバッテリーから一時的に電力を供給し、安全な停止を助ける装置です。正式名称はUninterruptible Power Supply(アンインタラプティブル・パワー・サプライ/無停電電源装置)または規格上のUninterruptible Power Systemで、ユーピーエスと読みます。

商用電源が正常な間に内蔵バッテリーを充電し、停電・瞬時停電・大きな電圧低下などを検出すると、蓄えた直流電力をインバーターで交流へ変換して接続機器へ供給します。方式によって通常時の電力経路と切替時間、電圧補正の範囲が違います。

UPSの目的は長時間使い続けることだけではなく、短い電源異常を越え、長引く場合にデータを保存して機器を安全に停止する時間を作ることです。発電機や恒久的な予備電源とは役割が異なります。

入力保護、電圧調整、充電器、電池、インバーターを通して負荷へ電力を渡す長時間停電では通信線からNASへ停止を通知し、電池切れの前に処理を終える
UPS内部の商用電源入力、保護、電圧調整、充電器、バッテリー、インバーター、バイパスからNAS、ルーター、スイッチへ電力を送る経路と、停電・電圧低下・サージ・長時間停電時の安全停止、三方式の経路、負荷増加で短くなる稼働時間、電池交換を示した図解
図1雷サージを含むすべての電源障害を完全に吸収できるわけではありません。保護性能、接地、建物側の雷保護も確認します。

三つの代表方式は、通常時に電力が通る経路が違う

方式名より、通常経路・電圧補正・切替・出力波形を仕様表で確認する負荷が許容できる切替時間と電源品質に合わせて選ぶ
Standby常時商用給電方式

通常は商用電源をほぼそのまま通し、異常時にバッテリーとインバーターへ切り替える

Line interactiveラインインタラクティブ方式

通常は電圧調整器を通し、小さな昇降圧を電池へ切り替えず補正する

Double 変換常時インバーター方式

入力をいったん直流へ変え、常時インバーターから出力し、入力変動を分離しやすい

Bypass保守・過負荷時の迂回

装置故障や過負荷時に商用電源へ迂回する経路。保護状態が変わることを監視する

図2製品分類と実装には差があります。IEC 62040‑3では入力依存性などに基づく性能分類と試験条件を定めます。

VAとWの両方が、接続負荷の上限を表す

VA(volt-ampere/ボルトアンペア)は電圧と電流から求める皮相電力、W(watt/ワット)は実際に仕事へ使われる有効電力です。交流負荷では力率により二つが一致しません。

UPSにはVA上限とW上限があり、どちらも超えないようにします。電源アダプターの最大入力だけを単純合計するより、実測負荷と起動時の突入電流、将来の増設余裕を見ます。容量の大きさと稼働時間は別で、同じUPSでも負荷が増えるほど電池運転時間は短くなります。

NASは、通信線で残り時間を受け取り、停止処理を始める

NASやサーバーはUSBまたはネットワーク管理でUPS状態を監視できます。停電直後に停止すると短い瞬断へ弱くなるため、一定時間の電池運転、残量、推定残り時間などを条件に安全停止を開始します。

複数機器を一台のUPSへつなぐ場合、監視を受けた管理機器がほかの端末へ停止通知を配る構成もあります。NASだけ停止してもスイッチが先に落ちると通知できないため、ONU、ルーター、スイッチを含む制御経路もバックアップ対象にします。

バッテリーは消耗品で、温度と充放電で容量が下がる

鉛蓄電池やリチウムイオン電池は、使用しなくても時間と温度で劣化します。満充電表示でも実容量が減り、停電時に数分で切れることがあります。メーカーの交換目安、自己診断、実負荷に近い定期試験を組み合わせます。

膨張、液漏れ、異臭、異常発熱があれば使用を止め、指定部品・手順で交換します。端子を短絡せず、廃棄は自治体・メーカーの回収へ従います。電池交換後は廃棄した故障電池を装置内に残しません。

レーザープリンターやヒーターなど、大きな負荷を安易につながない

レーザープリンター、暖房器具、モーター、大型電源は起動・加熱時に大電流を取り、UPSを過負荷にできます。出力波形が正弦波でない製品と、力率改善回路を持つ機器の組み合わせにも注意が必要です。接続可否はUPSと負荷機器の説明書で確認します。

UPS同士や電源タップを無制限に数珠つなぎせず、接地極を維持します。吸排気を塞がず、水・高温・可燃物から離します。保護したい機器だけでなく、合計VA/W、突入電流、必要時間、停止方法、電池交換までを一つの運用として設計します。

安全・性能の確認資料:IEC 62040‑1:2017「UPS safety requirements」IEC 62040‑3:2021「UPS performance and test requirements」

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