データセンターとは
データセンターは、サーバー、保存装置、ネットワーク機器を、安定した電源・冷却・通信・物理保護のもとで稼働させるための施設です。機械を並べた部屋だけでなく、止めずに動かすための建物設備と運用を含みます。
サーバーが処理を担当する「機械・ソフトウェア」なら、データセンターはそれらを支える設備を備えた場所です。
ラックの外側にある重要な設備
- 電源
- 商用電力を受け、機器へ分配します。停電や瞬断へ備え、UPS(Uninterruptible Power Supply/アンインタラプティブル・パワー・サプライ、無停電電源装置)や非常用発電機を組み合わせる場合があります。
- 冷却
- サーバーが生む熱を室外へ運び出します。冷たい空気と暖かい排気が混ざりにくい配置、空調、冷水設備などを使います。
- 外部通信
- インターネットや専用網へつなぐ回線とネットワーク機器を備えます。異なる経路や通信事業者へ分け、一本の障害が全体停止になりにくくする設計があります。
- 物理保護と監視
- 入退室、監視カメラ、火災検知、漏水、温度、電源、機器状態などを管理します。情報セキュリティはソフトウェアだけの問題ではありません。
通信は建物へ入ったあと、目的のサーバーまで分けられる
- 外部回線施設へ到着
- →
- 境界機器経路と通信を制御
- →
- 処理サーバー要求へ応答
- ⇄
- 保存装置必要なデータを読む
止まりにくくする「冗長化」
一つの電源、一台の空調、一台のネットワーク機器だけに頼ると、その一か所の故障でサービスが止まります。同じ役割を複数用意し、故障時に残った側へ切り替えられる構成を冗長化と呼びます。
ただし、設備が二つあれば必ず止まらないわけではありません。同じ部屋、同じ電源経路、同じ設定ミスなど、共通の原因で同時に影響を受けることがあります。複数のデータセンターへ分ける設計は、建物単位の障害へ備える方法の一つです。
クラウドとの違い
クラウドは資源の提供方法、データセンターは機器を動かす物理施設です。自社専用のサーバーもデータセンターへ置けますし、クラウド事業者も多数のデータセンターを使います。クラウドの反対がデータセンターではありません。
施設の信頼性と、サービスの可用性は分けて考える
電源や空調が正常でも、サーバー、データベース、アプリケーション、設定のどこかに異常があればサービスは停止します。反対に、一つの施設が使えなくなっても、別の施設へ処理を切り替える設計ならサービスを続けられることがあります。施設が止まりにくいことと、利用者から見たサービスが使い続けられることは同じではありません。
稼働率や障害時の対応時間を契約として確認するときは、施設の設備一覧だけでなく、提供サービスのSLA(Service Level Agreement/サービス・レベル・アグリーメント)を読みます。SLAの対象、測定方法、対象外となる停止時間まで確認しなければ、設備の説明だけから利用できる時間を断定できません。
「データがどこにあるか」は一つの建物だけでは決まらない
同じデータが、処理用の複製、待機系、バックアップとして複数の機器や施設に置かれることがあります。また、クラウドの「リージョン」や「地域」という表現は、必ずしも一棟の建物を指しません。保存場所や国外移転の条件を確認する場合は、サービスの契約条件と構成を調べ、データセンターという言葉だけで場所を決めつけないことが大切です。
設備の確認資料:U.S. Department of Energy「Best Practices Guide for Energy-Efficient Data Center Design」