用語辞典・ネットワーク機器

スイッチングハブ

スイッチングハブとは

スイッチングハブは、受信したイーサネットフレームの宛先を見て、必要なポートへだけ中継する機器です。日本では家庭・小規模オフィス向けのEthernet switch(イーサネット・スイッチ)を「スイッチングハブ」と呼ぶことが一般的です。

各ポートから届いたフレームの送信元MACアドレスを覚え、宛先MACアドレスがどのポート側にあるかを判断します。宛先が分かれば、関係のないポートへ同じ通信をコピーしません。

LANケーブルを増やす分配器ではなく、フレームを受け取り、宛先ごとに出口を選ぶ中継装置です。電源なしの分岐コネクターで置き換えることはできません。

既知の宛先は一つの出口へ、未知・同報は必要な範囲へ広げる送受信を同時に行える点も、旧式リピーターハブと異なる
パソコン、プリンター、NAS、ノートパソコンをスイッチングハブへ接続し、既知宛先のフレームはプリンターだけへ中継し、未知宛先は複数ポートへ送り、旧式リピーターハブの全ポート複製と比較した図解
図1図の「広げる」は無条件に全端子ではなく、受信ポートを除く同じVLAN内の転送可能ポートが対象です。

受信するたびに送信元を学び、宛先表を更新する

表は管理者がすべて登録するのではなく、実際の通信から自動で育つ宛先が分からない最初の通信だけは複数ポートへ届く
  1. 受信
    一つのポートでフレームを受ける

    FCSなどを確認し、壊れたフレームは通常転送しない

  2. 学習
    送信元MACと入口を対応付ける

    以前と違う入口なら表を更新し、一定時間使われない情報は消す

  3. 検索
    宛先MACを表から探す

    既知、未知、ブロードキャスト・マルチキャストを区別する

  4. 転送
    適切な出口だけへ送る

    同じ入口側に宛先があれば転送せず、未知なら同じ範囲へフラッディングする

図2家庭用の非管理型製品でも基本のMAC学習は行います。学習表の閲覧やVLAN設定ができるかは製品区分によります。

旧式のリピーターハブは信号を全ポートへ繰り返した

旧式のrepeater hub(リピーター・ハブ)は物理層で受けた信号をほかのポートへ再生し、接続端末が同じ通信媒体を共有しました。同時送信が衝突するため半二重とCSMA/CDが必要でした。

現代のスイッチ接続はポートごとに独立した全二重リンクを作り、送信と受信を同時に行えます。イーサネットという規格群には歴史的な共有媒体も含まれますが、現在の一般的なLANはスイッチ型です。

未知ユニキャストとブロードキャストは、障害ではなく必要な動作である

起動直後など、宛先MACが表にないunknown unicast(アンノウン・ユニキャスト/未知ユニキャスト)は、同じ転送範囲へフラッディングします。応答が来れば送信元を学習し、次回から出口を絞れます。

ARP要求などのブロードキャストも同じLANへ届ける必要があります。したがって「スイッチなら他ポートへ何も漏れない」わけではありません。機密性はTLSなど上位の暗号化とアクセス制御で確保します。

ポート速度の合計と、上り回線の速度を区別する

各ポートが1Gbpsでも、NASやルーターへ向かう一本のポートへ通信が集中すれば、そのリンクが上限になります。スイッチ内部にも転送容量、パケットバッファー、同時処理能力があります。安価な製品でも通常利用には十分ですが、全ポートが同時に最大速度を出せるとは限りません。

10/100/1000BASE‑Tなどの速度は相手機器と自動交渉します。期待より遅いときは、LANケーブル、コネクター、相手ポート、省電力設定を確認します。

二本以上で同じ場所を結ぶと、フレームが回り続けることがある

通常の非管理型スイッチを輪になるよう配線すると、ブロードキャストが循環・増幅するbroadcast storm(ブロードキャスト・ストーム)を起こせます。冗長配線にはSTPなどループを防ぐ機能が必要です。

管理型スイッチはVLAN、STP、リンク集約、監視、QoSなどを設定できます。非管理型は接続するだけで使いやすい一方、構成を誤ったときの保護・可視化は製品次第です。空きポートを増やすだけなら非管理型、論理分割や冗長化を行うなら管理型の仕様を確認します。

仕様の確認資料:IEEE 802.3‑2022「Ethernet」IEEE 802.1Q‑2022「Bridges and Bridged Networks」

関連用語