スイッチングハブとは
スイッチングハブは、受信したイーサネットフレームの宛先を見て、必要なポートへだけ中継する機器です。日本では家庭・小規模オフィス向けのEthernet switch(イーサネット・スイッチ)を「スイッチングハブ」と呼ぶことが一般的です。
各ポートから届いたフレームの送信元MACアドレスを覚え、宛先MACアドレスがどのポート側にあるかを判断します。宛先が分かれば、関係のないポートへ同じ通信をコピーしません。
LANケーブルを増やす分配器ではなく、フレームを受け取り、宛先ごとに出口を選ぶ中継装置です。電源なしの分岐コネクターで置き換えることはできません。

受信するたびに送信元を学び、宛先表を更新する
- 受信一つのポートでフレームを受ける
FCSなどを確認し、壊れたフレームは通常転送しない
- 学習送信元MACと入口を対応付ける
以前と違う入口なら表を更新し、一定時間使われない情報は消す
- 検索宛先MACを表から探す
既知、未知、ブロードキャスト・マルチキャストを区別する
- 転送適切な出口だけへ送る
同じ入口側に宛先があれば転送せず、未知なら同じ範囲へフラッディングする
旧式のリピーターハブは信号を全ポートへ繰り返した
旧式のrepeater hub(リピーター・ハブ)は物理層で受けた信号をほかのポートへ再生し、接続端末が同じ通信媒体を共有しました。同時送信が衝突するため半二重とCSMA/CDが必要でした。
現代のスイッチ接続はポートごとに独立した全二重リンクを作り、送信と受信を同時に行えます。イーサネットという規格群には歴史的な共有媒体も含まれますが、現在の一般的なLANはスイッチ型です。
未知ユニキャストとブロードキャストは、障害ではなく必要な動作である
起動直後など、宛先MACが表にないunknown unicast(アンノウン・ユニキャスト/未知ユニキャスト)は、同じ転送範囲へフラッディングします。応答が来れば送信元を学習し、次回から出口を絞れます。
ARP要求などのブロードキャストも同じLANへ届ける必要があります。したがって「スイッチなら他ポートへ何も漏れない」わけではありません。機密性はTLSなど上位の暗号化とアクセス制御で確保します。
ポート速度の合計と、上り回線の速度を区別する
各ポートが1Gbpsでも、NASやルーターへ向かう一本のポートへ通信が集中すれば、そのリンクが上限になります。スイッチ内部にも転送容量、パケットバッファー、同時処理能力があります。安価な製品でも通常利用には十分ですが、全ポートが同時に最大速度を出せるとは限りません。
10/100/1000BASE‑Tなどの速度は相手機器と自動交渉します。期待より遅いときは、LANケーブル、コネクター、相手ポート、省電力設定を確認します。
二本以上で同じ場所を結ぶと、フレームが回り続けることがある
通常の非管理型スイッチを輪になるよう配線すると、ブロードキャストが循環・増幅するbroadcast storm(ブロードキャスト・ストーム)を起こせます。冗長配線にはSTPなどループを防ぐ機能が必要です。
管理型スイッチはVLAN、STP、リンク集約、監視、QoSなどを設定できます。非管理型は接続するだけで使いやすい一方、構成を誤ったときの保護・可視化は製品次第です。空きポートを増やすだけなら非管理型、論理分割や冗長化を行うなら管理型の仕様を確認します。
仕様の確認資料:IEEE 802.3‑2022「Ethernet」、IEEE 802.1Q‑2022「Bridges and Bridged Networks」