L2スイッチとは
L2スイッチは、主にMACアドレスを基に、同じLAN内のイーサネットフレームを中継するスイッチです。L2はLayer 2(レイヤー・ツー/第2層)の略で、OSI参照モデルのデータリンク層を表します。読み方はエルツー・スイッチです。
物理ポートでフレームを受け、送信元MACアドレスを学習し、宛先MACアドレスとVLANを手掛かりに出口を決めます。家庭用の「スイッチングハブ」も多くはL2スイッチですが、このページでは製品の呼び名より処理原理に注目します。
L2スイッチが見ている基本の宛先はIPアドレスではなく、同じリンク上で次に届ける相手を示すMACアドレスです。IPアドレスは管理用やL3機能を除き、通常のL2転送判断には使いません。

転送判断は、四つの動作へ分けると理解しやすい
- Learn送信元MACを記録
受信VLANと入口ポートを対応させ、最終確認時刻を更新する
- Forward既知宛先へ転送
表にある別ポートだけへフレームを出す
- Filter同じ入口なら止める
宛先が入口と同じ側にいると分かれば不要な転送をしない
- Flood未知・同報を広げる
受信ポートを除く、同じVLAN内の許可されたポートへ複製する
- Age古い学習を消す
端末の移動に追従できるよう、使われない動的エントリーを期限切れにする
MACアドレス表は、端末の名簿ではなく到達方向の一時記録である
表に入るのは「この送信元MACは、このVLANの、このポート側から最近届いた」という情報です。端末名、利用者、IPアドレスを保証する名簿ではありません。無線APや下位スイッチの先に複数端末があれば、一つのポートへ多数のMACが学習されます。
端末を別ポートへ移すと、新しい送信フレームから位置を学び直します。ループや誤配線で同じMACが複数ポート間を高速に移るように見える現象はMAC flapping(マック・フラッピング)と呼ばれ、障害の手掛かりになります。
VLANは、一台のスイッチ内に複数のL2転送範囲を作る
VLAN(Virtual LAN/バーチャル・ラン)は、物理的に同じスイッチを論理的な複数LANへ分けます。アクセスポートは一つのVLANへ端末を収容し、トランクポートはタグを使って複数VLANをスイッチ間などへ運びます。
異なるVLAN間はL2転送だけでは越えられません。通信させるにはL3スイッチやルーターで経路を作り、必要なアクセス制御を行います。VLANは同報範囲を分けますが、それだけであらゆる攻撃を防ぐセキュリティ製品ではありません。
冗長リンクには、ループを止める制御が要る
L2フレームにはIPのTTLのように中継回数で必ず捨てる仕組みがありません。輪になった経路でブロードキャストや未知ユニキャストが回ると、複製が増え、MAC表も不安定になります。
STP(Spanning Tree Protocol/スパニング・ツリー・プロトコル)は、ブリッジ間で情報を交換し、ループのない木構造になるよう一部ポートを転送待機へします。障害時には待機経路を有効にします。リンク集約は、複数線を一つの論理リンクとして両端で合意させる別の方法です。
管理用IPがあっても、L2転送がIP経路制御になるわけではない
管理型L2スイッチにはWeb画面、SSH、監視用のIPアドレスを設定できます。このIPはスイッチ自身へ管理通信を届けるためのもので、接続されたIPサブネット間を自動でルーティングする機能を意味しません。
仕様表では、VLAN数、MAC表容量、STP、LACP、ポートミラーリング、PoE、管理方式を確認します。「スマート」「Web管理」などの商品分類だけで必要機能を判断しません。
仕様の確認資料:IEEE 802.1Q‑2022「Bridges and Bridged Networks」、IEEE 802.3‑2022「Ethernet」