用語辞典・ネットワーク機器

光トランシーバー

光トランシーバーとは

光トランシーバーは、スイッチなどへ装着し、光ファイバーで送受信するための交換可能な通信モジュールです。英語表記はoptical transceiver(オプティカル・トランシーバー)です。transmitter(送信機)とreceiver(受信機)を一つのモジュールへ収めます。

ホスト装置から受けた高速電気信号でレーザーなどの光源を駆動し、光ファイバーへ送ります。受信側はフォトダイオードで光を電流へ変え、増幅・波形整形してホスト側の電気信号へ戻します。

差し込み口へ物理的に入るだけでは互換にならず、フォームファクター、電気レーン、通信規格、波長、ファイバー、到達距離、コネクター、ホスト対応を一つずつそろえる必要があります。

ホストの電気信号を送信光へ、受信光を電気信号へ変えて二方向を同時に扱う形状から光予算までの互換条件をすべて満たして初めてリンクする
スイッチのケージへ差し込む光トランシーバーの透明断面に、ホスト電気接点、制御・診断回路、送信ドライバーと光源、受光素子と増幅器、二芯光コネクターを示し、ホスト形状、電気レーン、波長、ファイバー、コネクター、距離の適合、単芯BiDiの補完ペア、ダストキャップ、レーザー安全、診断値を示した図解
図1図は二芯・一送一受の代表構成です。複数波長・複数レーンを一つのモジュールとコネクターで扱う方式もあります。

互換性は、ホスト側・光規格・配線側の三群に分けて照合する

一つでも不一致なら、リンクしないか誤りが増える型番の末尾だけを比べず、規格名とデータシートを両端で確認する
Host cage外形と電気仕様

SFP系・QSFP系などのケージ、電気レーン数・速度、消費電力上限を合わせる

ProtocolEthernet PHY

1000BASE‑SX、10GBASE‑LRなど、両端が同じ物理層方式で動く

Wavelength送受信波長

二芯は通常同じ方式、BiDiは互いの送信波長を受ける補完ペアにする

FiberSMF・MMF

シングルモードかマルチモードか、ファイバー等級と波長に合わせる

Connector芯数と端面

LC、MPOなどの形状、極性、研磨、芯数、パッチコードを合わせる

Optical予算送信・損失・受信範囲

距離だけでなく、コネクター・融着・分岐を含む損失と過大入力を確認する

図2「10km用」は必ず10km必要という意味ではありませんが、短距離で受光上限を超える組み合わせでは減衰器が必要な場合があります。

SFP、SFP+、SFP28は似た外形でも、電気速度が異なる

SFP(Small Form-factor Pluggable/スモール・フォームファクター・プラガブル)は小型交換モジュールの系列です。SFP+は主に10Gb/s級、SFP28は25Gb/s級などに使われますが、外形が近くてもホストが各電気仕様とプロトコルを支える必要があります。

QSFP(Quad Small Form-factor Pluggable/クアッド・スモール・フォームファクター・プラガブル)系は複数レーンを持ち、40G・100G以上などで使われます。ブレークアウトケーブルで複数ポートへ分けられるかは、モジュールだけでなくスイッチASICと設定に依存します。

SR・LRなどの末尾は、媒体と到達条件を含むPHY名の一部である

10GBASE‑SRは一般に短距離のマルチモード光、10GBASE‑LRは長距離のシングルモード光を使います。1000BASE‑SX/LXなど、速度世代ごとに名称と条件があります。単に「SRは短い、LRは長い」と暗記せず、IEEE規格の波長、ファイバー、最小・最大距離、光送受信条件を照合します。

第三者モジュールを拒否・警告するホストや、ベンダーコード設定が必要な機器があります。電気・光学的に規格準拠でも管理ソフトが受け付けない場合があるため、サポート一覧とファームウェアを確認します。

光予算は、送信出力から経路損失を引き、受信範囲へ収める

送信側の最小光出力から、ファイバー、コネクター、融着、分岐、設計余裕の損失を差し引いても、受信感度以上で届く必要があります。一方、近距離で強すぎる光が受信最大値を超えてもいけません。

距離表示だけでは、コネクター汚れや曲げ損失を判断できません。光パワーメーター、モジュールのDDM値、必要に応じOTDRを使い、両方向を測ります。送信値と受信値を両端・両方向で記録し、設計値と比較します。

BiDiは一芯で送受信するため、異なる波長の対を使う

BiDi(Bidirectional/バイディレクショナル)モジュールは波長分離フィルターを使い、一芯で送信と受信を同時に行います。片側が短い波長で送信・長い波長で受信なら、対向は逆の組み合わせが必要です。

送受信波長、速度、到達距離の補完ペアを型番で確認します。二芯モジュールとBiDiを対向させたり、同じ側のBiDi二個を組み合わせたりしません。PON用ONU・OLT光モジュールも波長分離を使いますが、通常のポイントツーポイントEthernetとはプロトコルが違います。

DDMは状態を見せるが、測定器と同じ保証ではない

DDM(Digital Diagnostic Monitoring/デジタル・ダイアグノスティック・モニタリング)またはDOMは、温度、電源電圧、レーザーバイアス、送信光、受信光の推定値をホストへ伝えます。しきい値越えや徐々に悪化する接続を見つける手掛かりになります。

校正精度と対応項目はモジュールで異なり、受光値ゼロでもケーブル断・TX/RX逆・対向送信停止など複数原因があります。値を絶対視せず、清掃、交換、光測定と組み合わせます。

端面を清潔に保ち、光をのぞかない

使わないポートとモジュールにはダストキャップを付けます。端面の微細な汚れは挿入損失と反射を増やし、差し込むと相手側にも移ります。専用顕微鏡で検査し、規定の清掃手順を使います。

光ファイバーやトランシーバーの送信口を肉眼・一般顕微鏡でのぞきません。不可視光でも目に損傷を与える可能性があります。ホットスワップ対応でも、ラッチ解除、ポート無効化、静電気対策、メーカー手順に従います。

仕様の確認資料:IEEE 802.3‑2022「Ethernet optical PHYs」SNIA SFF Technology Affiliate「Specifications」

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