PPPoEとは
PPPoEは、PPPのポイントツーポイント通信をEthernetフレームで運び、アクセス回線上に論理セッションを作る方式です。正式名称はPoint-to-Point Protocol over Ethernet(ポイント・トゥー・ポイント・プロトコル・オーバー・イーサネット)です。
家庭側ルーターなどのhost(ホスト)が、事業者側のAccess Concentrator(アクセス・コンセントレーター/集線装置)を探索し、選んだ相手とのセッションIDを得てからPPPの設定へ進みます。
PPPoEはIPv4そのものではありません。PPPセッションの上でIPv4もIPv6も構成でき、どちらを提供するかは回線・ISPのサービス設計で決まります。

Discoveryの四段階で相手とセッションIDを決める
PADIInitiationホストが利用可能なアクセスコンセントレーターを広く探す
PADOOffer応答可能な装置が自分の名前やサービス情報を返す
PADR要求ホストが一つの応答先を選び、セッション確立を要求する
PADSSession-confirmation装置が一意なセッションIDを割り当て、Session段階へ移る
セッション内では、PPPの順序で設定する
まずLCP(Link Control Protocol/リンク・コントロール・プロトコル)で最大受信単位やリンク品質などを交渉します。次にPAPやCHAPなど、ISPが指定する方法で利用者認証を行います。
その後、IPv4にはIPCP、IPv6にはIPv6CPというNCP(Network Control Protocol/ネットワーク・コントロール・プロトコル)を使います。IPv6CPは主にインターフェース識別子などを設定し、グローバルプレフィックスはRAやDHCPv6-PDなど別の仕組みで得ます。
ヘッダー分だけ、IPパケットへ使える大きさが減る
標準的な1500オクテットEthernetペイロードでは、PPPoEヘッダー6オクテットとPPP Protocol ID 2オクテットを差し引き、IP MTUが1492になる構成が一般的です。RFC 4638の拡張と大きなEthernetフレームを両端が扱える場合は、1500オクテットIP MTUも実現できます。
したがって「PPPoEは必ず1492」と固定値にせず、ルーターWAN設定と実際の経路を確認します。MTUやMSS調整が合わないと、断片化できない通信や大きな応答だけが止まることがあります。
設備の収容構造と速度は、プロトコル名だけでは決まらない
多数のPPPoEセッションを終端する装置や、その先の接続帯域が混雑すると性能が低下します。国内光回線でPPPoE方式の混雑が話題になるのは、この収容・網間接続の設計と利用集中が関係します。
しかしPPPoEそのものが常に低速という意味ではありません。設備容量、事業者設計、回線品質、宅内機器が十分なら性能は異なります。IPoEとの比較は、同条件で測った実効値と経路構成で判断します。
仕様の確認資料:RFC 2516「A Method for Transmitting PPP Over Ethernet」、RFC 1661「The Point-to-Point Protocol」、RFC 4638「Accommodating a Maximum Transit Unit of 1500 in PPPoE」