PPPoEセッションとは
PPPoEセッションは、PPPoEで利用者認証後に確立される論理的な接続単位です。PPPoEはPoint-to-Point Protocol over Ethernet(ポイント・トゥ・ポイント・プロトコル・オーバー・イーサネット)の略で、一般に「ピーピーピーオーイー」と読みます。
Ethernet上でルーターなどのホストとアクセス集約装置を見つけ、セッション識別子を決め、その中でPPPのリンク設定・認証・ネットワーク層設定・IPパケット転送を行います。
PPPoEセッションが切れても、LANケーブルや光回線という物理リンクが直ちに切れたとは限りません。Ethernetリンクはupのまま、論理セッションだけを張り直すことがあります。

開始から終了までの五段階
PADI、PADO、PADR、PADSを交換し、相手とセッションIDを決めます。
MRU、認証方式、magic番号等を交渉します。
PAP・CHAP等で利用者を確認します。秘密情報の保護方法は方式で異なります。
IPCPやIPv6CPでIPv4・IPv6に必要なパラメーターを交渉します。
セッショントラフィックを転送し、PADT等で識別したセッションを解放します。
Discoveryはセッション前のEthernet通信
PADI(PPPoE Active Discovery Initiation/ピーピーピーオーイー・アクティブ・ディスカバリー・イニシエーション)をホストがブロードキャストし、候補の集約装置がPADOで応答します。ホストはPADRで一つを要求し、PADSでセッションIDが確定します。
セッションはホストと集約装置のMACアドレス対、およびセッションIDで識別されます。同じアクセスネットワーク上でも、別利用者・別セッションは区別されます。
認証成功だけでIP通信の準備が全部終わるわけではない
LCPでPPPリンクを開き、要求された認証を行い、その後NCPでネットワーク層パラメーターを決めます。認証失敗、IPアドレス割当失敗、方針拒否は異なる段階です。
ログではDiscoveryタイムアウト、LCPタイムアウト、PAP・CHAP障害、IPCP障害、LCP echo障害等を区別します。「PPPoEエラー」だけでは原因区間が広すぎます。
通常のPPPoEではMTUが小さくなる
PPPoEヘッダーとPPPプロトコルIDがEthernetペイロードへ加わるため、標準的な1500-バイトEthernetペイロードではIP MTUを1492バイトにする構成が一般的です。パスがbaby jumboフレームを支えればRFC 4638の方法で1500-バイトIP MTUを扱える場合があります。
MTU不整合は大きなパケットだけ止まる、特定サイトだけ開かない、VPN内で断片化する等の症状になります。MSS clampだけで隠さず、エンドツーエンドのPMTUDとインターフェースMTUを確認します。
一つの物理回線に複数セッションを作れる場合がある
プロトコル上は複数セッションを識別できますが、事業者は契約IDごとの同時セッション数や接続先サービスを制限できます。旧ルーターのセッションが残ると、新ルーターが認証できない場合があります。
セッションを切断してから機器を交換し、集約装置側タイムアウトを待つ必要があるかを事業者手順で確認します。ブリッジモードのONU・モデムはPPPoEフレームを通し、後段ルーターがセッションを終端します。
混雑はセッション確立とは別に起きる
PPPoEセッションが正常に確立しても、集約装置収容、事業者ゲートウェイ、相互接続点、上位ネットワークが混雑すれば実効速度は下がります。セッションupは到達性の一条件で、性能保証ではありません。
PPPoEセッションを調べるときは、Ethernetリンク、Discovery、LCP、認証、NCP、IP転送、keepalive、終了のどこまで進んだかをログで追います。
Discovery StageとPPP Session Stage、PADI・PADO・PADR・PADS、session IDとMAC addressによる識別:RFC 2516「A Method for Transmitting PPP Over Ethernet」。PPPoEで1500-byte MTUを扱う方法:RFC 4638