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RTT

RTTとは

RTTは、Round Trip Timeの略で、データが相手へ届き応答が戻るまでの往復時間です。正式名称はRound Trip Time(ラウンド・トリップ・タイム)、略語は一般に「アールティーティー」と読みます。

送信側のある時点から、対応する確認応答や返信を受け取るまでを一つの時計で測ります。経路を往復する伝搬・転送・待ち時間に、相手が返信を作るまでの時間が加わる場合があります。

RTTは距離だけで決まりません。行きと帰りの経路、各装置の待ち行列、無線の再送、相手が応答を返す速さによって変動します。

一つの送信元時計で、出発から対応する応答の帰着までを測る往路と復路をまとめた時間であり、片道時間そのものではない
左の端末から複数の中継点を通って右の相手へ信号が進み、別の色の応答が戻る往復経路と時計を示したRTTのピクトグラム図解
図1行きと帰りが同じ道とは限りません。RTTを2で割っても、正確な片道遅延にはなりません。

一回の標本と、通信制御に使う推定値を分ける

同じ通信から得た往復時間でも、用途に応じて異なる値へ整理する一番新しい値だけで再送時刻を決めず、変動幅も含めて安全側へ見積もる
Latest最新のRTT標本

対応する送信と確認応答の時刻差。待ち行列の影響をそのまま受ける

Minimum最小RTT

観測期間で最も短い値。待ちが少ない経路の基準を推測する手掛かり

Smoothed平滑化RTT

過去の標本を重み付けして急変をならし、通信制御の基準にする

VariationRTT変動

標本のばらつき。再送を早過ぎず遅過ぎず行う余裕へ反映する

Timeout再送タイマー

推定RTTと変動から計算する。RTTそのものと同じ値ではない

Applicationアプリ応答

RTTにサーバー処理や複数往復を加えた時間で、より広い指標になる

図2TCPではSRTTとRTTVARからRTOを求めます。QUICもRTT標本や確認応答遅延を用い、損失検出と再送準備の時刻を調整します。

片道遅延は、RTTの半分とは限らない

インターネットの経路制御は、送信元から宛先への道と、宛先から送信元への道を別々に選べます。上り回線と下り回線の速度、混雑、中継地も異なるため、往路20 ms・復路80 msのような非対称が起こります。

正確な片道遅延を測るには、両端の時計を十分な精度で同期させ、送受信時刻の誤差を管理する必要があります。RTTは送信側の一つの時計で測れる点が扱いやすい一方、どちら側で遅れたかは単独では分かりません。

PingのRTTと、TCP・QUICのRTTは測る通信が違う

Pingは通常、ICMP Echo 要求とEcho 応答の時刻差を表示します。TCPは実データとACK、QUICはACKフレームを対応させて、接続中のRTTを推定します。装置がICMPを低い優先度で処理する場合、Pingだけが遅く見えることもあります。

逆に、Pingが短くてもWebやゲームが同じ時間で応答するとは限りません。アプリケーションは複数回の往復、TLS、認証、サーバー処理を必要とします。目的のプロトコルと宛先で測ります。

確認応答の遅延も、標本へ含まれることがある

受信側は毎パケットへ即座にACKを返さず、まとめて確認することがあります。TCPのDelayed ACKやQUICのACK Delayは、確認応答を少し待つ仕組みです。測定した時刻差には、この待ちが含まれる可能性があります。

QUICは相手が報告する確認応答遅延を利用できますが、値を無条件には信用せず上限を設けます。PingのEcho 応答生成、OSのスケジューリング、省電力復帰なども、純粋な伝搬時間以外の成分です。

負荷中に増えるRTTは、待ち行列の膨張を示す手掛かりになる

回線が空いているときのRTTと、大きなアップロードやダウンロード中のRTTを比べます。負荷中だけ大幅に増えるなら、ルーターやモデムのキューにデータが積み上がるバッファブロートを疑えます。

ただし、無線の再送、基地局のスケジューリング、相手サーバーの混雑でも増えます。経路上の一箇所を断定せず、有線とWi-Fi、上りと下り、複数宛先、無負荷と負荷中を分けます。

RTTのばらつきとジッターは、定義を確認して比べる

ジッターは遅延の変動を表す言葉ですが、隣り合うパケット差、平均との差、分散など複数の計算方法があります。「RTTジッター」と書かれていても、ツールが何を算出したかを確認します。

平均RTTだけでは短時間の急増が隠れます。最小、中央値、95パーセンタイル、最大付近、損失を並べ、時系列も残します。再送されたパケットから曖昧なRTT標本を採らないなど、プロトコル側にも測定上の決まりがあります。

測定対象とパケット条件をそろえる

相手までの距離、接続方式、VPN、パケットサイズ、送信間隔、負荷、測定時間で結果は変わります。小さなICMPパケットが通っても、大きなデータや特定のポートが同じ経路・優先度で通るとは限りません。

宛先、プロトコル、パケットサイズ、送信間隔、試行数、接続方式、負荷状態、時刻を記録し、最小値と分布を一緒に読むと、物理的な基準と混雑時の増分を分けやすくなります。

定義と制御の確認資料:RFC 2681「A Round-trip Delay Metric for IPPM」RFC 6298「Computing TCP's Retransmission Timer」RFC 9002「QUIC Loss Detection and Congestion Control」

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