固定IPサービスとは
固定IPサービスは、外部から変わりにくいグローバルIPアドレスを利用できるようにする有料サービスです。英語ではstatic IP address service(スタティック・アイピー・アドレス・サービス)などと呼びます。
ISPが特定の契約へ同じパブリックIPv4アドレス、アドレスブロック、またはIPv6プレフィックスを継続して割り当て、該当する経路を利用者回線へ向けます。割当方法はPPPoE、IPoE、DHCP 予約、静的設定、BGP等、サービスによって異なります。
固定IPはアドレスを永久所有する商品ではありません。契約中に利用できる割当と経路制御であり、解約、サービス移行、事業者変更、ネットワーク再編で変わる可能性があります。

外部から到達するまでの五条件
一つのIPv4、複数アドレスブロック、IPv6プレフィックス等を契約へ対応付けます。
ISPネットワークが対象プレフィックスのパケットを利用者エッジへ転送します。
着信規則、ポート転送、ホスト側ファイアウォールを整合させます。
A・AAAAレコードを設定し、変更時のTTLと切替手順を管理します。
正しいローカルアドレス・ポートで待受けし、TLS、認証、更新を運用します。
動的アドレスとDDNSは別の解決方法
動的IPアドレスは再接続やリース更新などで値が変わり得ます。DDNS(Dynamic DNS/ダイナミック・ディーエヌエス)は、変化を検出してDNSレコードを更新し、同じ名前から新しいアドレスを引けるようにします。
DDNSはアドレスそのものを固定しません。DNSキャッシュのTTL、更新失敗、切替中の旧アドレス、CGNAT、着信制限は別に残ります。接続元をIP 許可リストへ登録する用途では、固定アドレスのほうが扱いやすい場合があります。
一つの固定IPv4とアドレスブロックではルーター構成が違う
一つの固定IPv4をルーターのWANインターフェースへ付け、NATで複数端末を共有するサービスがあります。複数のグローバルアドレスブロックが経路され、ファイアウォールやサーバーへ個別アドレスを割り当てるサービスもあります。
ネットワークアドレス、ブロードキャストアドレス、ゲートウェイ扱い、usableアドレス数は事業者の割当方式によって異なります。CIDRだけを見て独自判断せず、公式構成例を使います。
IPv6では固定アドレスよりプレフィックスの継続性を見る
IPv6ではLANへプレフィックス委任され、端末はそのプレフィックス内で複数アドレスを持つことがあります。インターフェース識別子がプライバシー機能で変われば、プレフィックスが同じでも一端末のアドレスは変わります。
外部公開ではdelegatedプレフィックスの継続条件、ルーターadvertisement、DHCPv6-PD、端末アドレス設定、IPv6ファイアウォールを確認します。NATがないことと、ファイアウォールがないことは同義ではありません。
逆DNSとメール運用は追加条件がある
送信メールサーバーではIP評判、PTRレコード、forward-confirmed逆DNS、SPF、DKIM、DMARC、ポート方針等が必要です。固定IPだけでメールが受信される保証はありません。
PTR変更を利用者が行えるか、事業者への申請か、IPv4・IPv6双方に対応するかを確認します。家庭向け回線ではサーバー用途やポートを約款で制限する場合があります。
固定された入口は攻撃側にも見つけやすい
同じアドレスへ継続して到達できることはVPN、リモート管理、許可リストに便利ですが、スキャンや攻撃も同じ入口へ繰り返せます。公開ポートを最小化し、MFA、証明書、更新、レート制限、ログ監視を組み合わせます。
固定IPサービスは「変わりにくいグローバルアドレスを回線へ割り当てて経路する」部分を提供します。DNS、NAT、ファイアウォール、アプリケーション、セキュリティ、契約継続は別に管理します。
subscriberへ任意のaddressをleaseごとに渡すnon-persistent assignmentと、同じsubscriberへ継続するpersistent assignmentを分ける解説:APNIC Blog「ISPs: Simplifying customer IPv6 addressing」。static addressとdynamic・NAT addressの境界:APNIC「Basic routing concepts, part 4」