用語辞典・メール

メールアドレス

メールアドレスとは

メールアドレスは、メールの送受信先を示す識別子で、通常はローカルパート、@、ドメインパートで構成されます。規格上の基本形はlocal-part@domain(ローカルパート・アットマーク・ドメイン)です。

@の左側はそのドメインを管理するメールシステム内の受信先、右側は配送先を探すためのドメイン名です。アドレス全体が、世界中の一台のサーバーや一人の本人を直接示すわけではありません。

右側のドメインをDNSでたどって受信システムへ届け、左側の扱いはそのドメイン側が決めます。@の左右では管理する範囲が異なります。

@の右で受信組織を探し、到着後に@の左でメールボックスや別名へ振り分ける文字列の構造と、実際に配送される経路を分けて理解する
封筒を中央の区切りで受信組織を示す右側と組織内の受信箱を示す左側に分け、DNSとメールサーバーへ進む流れを示したメールアドレスのピクトグラム図解
図1図は役割を示すため、実在するアドレス文字列を描いていません。ローカルパートの規則は提供者ごとに異なります。

一つのアドレスを、構文・配送・表示の役割へ分ける

ドメイン側はDNSのMXを使って配送先を案内する

送信側のSMTPサーバーは、宛先ドメインのMXレコードをDNSへ問い合わせます。MXには受信を担当するホスト名と優先度があり、送信側は利用できる候補へ接続を試みます。

MXがない場合、SMTPの規則ではドメイン自身を配送先として扱う暗黙のMXがありますが、Webサイトが開くこととメールを受け取れることは別です。DNSに名前があり、SMTPサーバーが宛先を受理して初めて配送が進みます。

ローカルパートの意味と正規化は、受信側が決める

SMTPでは、ローカルパートは宛先ドメイン側が解釈します。規格上、ローカルパートの大文字・小文字を区別できるため、外部システムが勝手に小文字化すると別アドレスを混ぜるおそれがあります。実際には区別しない提供者も多いものの、一般規則とは限りません。

点を無視する、+以降をタグとして扱う、複数の別名を同じ受信箱へ入れる、といった動作も提供者のサービス仕様です。他社アドレスへ同じ変換を適用しません。保存時は入力値を保ち、比較規則を提供者ごとに定めます。

表示名は、本人確認にならない

メールは「表示名 <アドレス>」の形で人向けの名前を添えられます。表示名は送信者が設定でき、同じ名前の利用者も存在します。受信画面が表示名だけを大きく見せる場合でも、@を含むアドレスとドメインを確認します。

さらに、画面上のFromとSMTPのMAIL FROMは別の役割です。後者は配送エラーの返送先となり、SPFなどの検証対象に使われます。ToにないBCC宛先も配送用封筒には含まれます。

形式が正しくても、受信できるとは限らない

構文検査は、@の位置や許可文字、長さなどを確認できます。しかし、そのドメインが存在するか、メールを受けるか、ローカルパートが有効か、本人が利用しているかまでは証明しません。

DNS確認、SMTP応答、確認メールのリンクやコードは段階が異なります。SMTPサーバーは迷惑メール対策のため、存在確認に曖昧な応答を返すこともあります。本人確認が必要なら、期限付き確認メールなど目的に合う方法を使います。

国際化メールアドレスでは、ASCII以外の文字を扱える

従来のSMTPは主にASCIIを前提としていました。EAI(Email Address Internationalization/イーメール・アドレス・インターナショナライゼーション)とSMTPUTF8の拡張により、ローカルパートへ国際化文字を使う仕組みがあります。

ドメイン名の国際化にはIDNAが関わり、表示形とDNSで扱うASCII互換表現を区別します。送受信経路のすべてが対応している必要があるため、古いシステムでは国際化アドレスを扱えない場合があります。文字を安易に置換して別アドレスへ変えません。

似た文字と不可視文字を使う詐欺に注意する

数字の0と英字O、ラテン文字と形の似た別文字、長いサブドメイン、表示名への正規ドメイン挿入などで、信頼できる相手に見せる攻撃があります。文字列の一部だけで判断せず、@より右を末尾まで確認します。

返信ボタンを押したときに別アドレスが入るReply-To、リンク先ドメイン、添付、認証結果も確認します。送信元アドレスが正しく見えても、アカウント自体が乗っ取られている可能性は残ります。

メールアドレスは個人情報として必要最小限に扱う

アドレスはログインID、所属、氏名、役割を推測でき、迷惑メールやアカウント探索に悪用されます。公開ページ、画面写真、ログ、エラーメッセージを共有するときは、調査に不要なローカルパートを伏せます。

保存目的、利用範囲、確認方法、変更・削除手順を決め、送信前にはTo・Cc・Bccと添付を見直すことが基本です。大量宛先をToやCcへ並べると、受信者同士へアドレスが公開されます。

構文と配送の確認資料:RFC 5321「Simple Mail Transfer Protocol」RFC 5322「Internet Message Format」RFC 6530「Overview and Framework for Internationalized Email」RFC 6531「SMTP Extension for Internationalized Email」

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