ドメインパートとは
ドメインパートは、メールアドレスの@より後にあり、受信先組織やメールサーバーの手掛かりとなる部分です。英語ではdomain part(ドメイン・パート)、仕様では単にドメインと表現されます。
通常はドメイン名を置きます。送信側はこの名前をDNSへ問い合わせ、メールを受け取るSMTPサーバーの候補を探します。@右側がサーバー名そのものとは限りません。
ドメインパートは「どの管理領域へ届けるか」の入口です。到着後にどの受信箱へ入れるかは、@左側のローカルパートを受信側が解釈します。

宛先ドメインから受信サーバーまでを順に解決する
- Domain宛先の管理領域を取り出す
@の右側をDNS名として扱い、配送先探索の基準にする
- MXメール交換先の候補を得る
優先度とホスト名を読み、低い優先値の候補から到達を試す
- Address交換先名をIPへ解決する
A・AAAAを調べ、利用できるIPv4・IPv6の接続候補を得る
- SMTP受信サーバーへ配送を試みる
宛先を受理するかはSMTP応答、ポリシー、メールボックス状態で決まる
MXはメールアドレスのドメインと異なる名前を指せる
MXレコードは、受信を担当するホスト名と優先度を示します。組織のドメインが外部メールサービスのサーバー名を指しても、利用者へ見せるメールアドレスは組織のドメインのままです。
複数のMXは単純な負荷分散リストではなく、優先度に従う配送候補です。最優先へ届かないときに次を試せますが、各候補が同じ宛先を正しく扱えるよう運用する必要があります。
MXがない場合の暗黙の扱いと、Null MXを区別する
SMTPではMXが存在しない場合、宛先ドメイン自身に優先度0のMXがあるかのように扱い、A・AAAAへ接続を試みる規則があります。Web用のAレコードだけがありメールを受けないドメインでは、不要な接続が発生します。
Null MX(ヌル・エムエックス)は、そのドメインがメールを受け付けないことを明示する専用表現です。単なるMX未設定、DNSエラー、受信停止とは意味が異なります。
サブドメインは、親ドメインと別の配送方針を持てる
サブドメインをドメインパートに使い、親とは異なるMXやメールサービスを設定できます。親ドメインのMXが、すべてのサブドメインへ自動継承されるわけではありません。
SPF、DKIM、DMARCも評価するドメインや探索規則が異なります。見た目の末尾が似ていても、どのDNS名にレコードを置き、どのヘッダーFromと整合させるかを個別に確認します。
DNS名は大小文字を区別しないが、表示と国際化に注意する
DNSの比較では英字の大文字・小文字を区別しません。保存や表示で元の表記を保つことはできますが、配送先ドメインとしては同じ名前です。これは大小文字を区別し得るローカルパートと異なります。
国際化ドメイン名は、利用者向けのUnicode表示とDNSで使うA-ラベルを対応させます。形の似た別文字による詐欺を防ぐため、表示だけでなく正規化後のドメイン、証明書、認証結果を確認します。
Webサイトが開くことと、メールを受け取れることは別である
ブラウザーは主にA・AAAAのWeb接続先へHTTP・HTTPSで接続します。メール送信側はMXを優先しSMTPで接続します。同じドメインでもサービス、ポート、サーバー、管理者が違います。
DNSにMXがあっても、期限切れ、容量超過、宛先不存在、受信ポリシー、認証失敗で配送できない場合があります。逆にWebページがなくてもメール専用ドメインとして利用できます。
入力検査では、ドメインの存在と本人確認を分ける
構文上のドメイン名か、DNSが応答するか、MXまたは暗黙の宛先があるかを順に確認できます。しかし受信サーバーの存在は、入力者がそのアドレスを所有する証明にはなりません。
メールアドレス原文、国際化表示とA-ラベル、MX応答、確認メール結果を別項目で扱い、DNS一回の結果を永久キャッシュしないことが安全です。
名前と配送の確認資料:RFC 5321「SMTP」、RFC 5322「Internet Message Format」、RFC 7505「Null MX」、RFC 6531「SMTPUTF8」