プライベートIPアドレスとは
プライベートIPアドレスは、家庭や会社など、管理された内部ネットワークで使うために予約されたIPv4アドレスです。英語ではprivate IP address(プライベート・アイピー・アドレス)と呼びます。
プライベートIPアドレスは、家庭や組織など管理された内部ネットワークで再利用でき、通常はそのまま一般のインターネットへ経路制御されないIPv4アドレスです。
同じ値を別々の家庭や組織で再利用できます。その代わり、通常はそのまま一般のインターネットへ経路制御されません。どの内部ネットワークに属する値かと組み合わせて初めて宛先を区別できます。

IPv4で予約されている範囲は三つ
10.0.0.0/810.0.0.0〜10.255.255.255
172.16.0.0/12172.16.0.0〜172.31.255.255
192.168.0.0/16192.168.0.0〜192.168.255.255
/8、/12、/16は、先頭から何ビットが範囲を識別する部分かを表すCIDR表記です。特に間違えやすいのが172で始まる範囲です。172.16から172.31までがプライベート用であり、172で始まるすべてのアドレスではありません。実際に一つの家庭や会社で使う範囲は、この大きな予約範囲からさらに小さく区切られます。
同じ家庭内では直接、外部へは境界を通る
同じ家庭内ネットワークにある端末同士は、プライベートIPアドレスを使ってプリンターや保存装置へ通信できます。宛先が外部ネットワークにあるときは、端末がルーターなどのデフォルトゲートウェイへパケットを渡します。
IPv4の家庭用ルーターでは、NAT(Network Address Translation/ネットワーク・アドレス・トランスレーション)やNAPTを使い、内側のプライベートIPアドレスと外側のグローバルIPアドレスの対応を記録する構成が一般的です。戻ってきた応答は、その記録を使って元の端末へ渡されます。
「プライベート」は、秘密・暗号化・安全を意味しない
プライベートIPアドレスは利用範囲を示す分類です。その値自体がパスワードのように秘密である、通信内容が暗号化される、端末が攻撃されない、という意味ではありません。
内部ネットワークでも、不要な共有を止める、機器を更新する、管理画面のパスワードを変える、来客用ネットワークを分けるといった対策は必要です。また、NATは通信の境界で働きますが、ファイアウォールや認証の代わりになる一つの万能な安全機能ではありません。
VPNでは、離れた拠点の範囲が重なると困る
自宅と会社がどちらも192.168.1.0/24を使っている状態でVPN接続すると、192.168.1.20が自宅側なのか会社側なのか区別しにくくなる場合があります。ルーターは宛先を見て経路を選ぶため、同じ範囲が二方向に存在すると意図しない側へ送る可能性があります。
複数拠点を接続する予定がある場合は、最初から重なりにくい範囲へ分けます。アドレスが私的に使えることと、設計を調整せず自由に使えることは同じではありません。
IPv6のローカル用アドレスは、IPv4の三範囲と別の仕組み
IPv6には、ローカル通信を意図したULA(Unique Local Address/ユニーク・ローカル・アドレス)があり、fc00::/7が予約されています。実際にローカルで生成する範囲としてfd00::/8が使われます。
ULAは衝突しにくい識別子を生成する考え方を含み、IPv4のプライベート範囲を単純に長くしたものではありません。また、同じリンク内だけで使うリンクローカルアドレスとも役割が違います。
仕様の確認資料:RFC 1918「Address Allocation for Private Internets」、RFC 3022「Traditional NAT」、RFC 4193「Unique Local IPv6 Unicast Addresses」