回線速度とは
回線速度は、回線が一定時間に転送できるデータ量を示す値で、最大値と実効値は異なります。通常はbit per second(ビット・パー・セカンド)、略してビット/sまたはbpsで表します。
「速度」という名前でも、物体が移動するm/sではありません。ある観測点を一秒間に何ビット通過できるかというdata rate(データ・レート)です。どのプロトコル層、方向、時間区間、測定点の比率かをそろえます。
契約の最大値、モデムの同期速度、Ethernetのリンク比率、速度試験のスループット、アプリケーションのグッドプットは別の値です。一つの数字を回線全体の万能な速さとして扱いません。

よく並ぶ五つの「速度」を分ける
規格・設備・経路で到達し得る上限で、継続保証値とは限りません。
Ethernet、Wi-Fi、光ファイバー、DSL等が制御情報を含めて送る比率です。
DSLやPON等で線路状態と契約プロファイルに基づき決まる値です。
一定時間に測定点を通ったデータ量で、混雑やオーバーヘッドの影響を受けます。
ヘッダー、再送、重複を除きアプリケーションへ新しく届いたペイロードの比率です。
ビットとバイト、SIプレフィックスをそろえる
1バイトは通常8ビットです。100 Mbpsは一秒100 megabitであり、一秒100 megabyteではありません。理論上ビットを8で割って12.5 MB/s相当ですが、実際はプロトコルオーバーヘッドと制御通信があるためファイル転送値は下がります。
ネットワーク製品のMbps・Gbpsは一般に十進プレフィックスで、1 Mbps=1,000,000ビット/sです。保存領域表示のMB/sやバイナリープレフィックスのMiB/sと混ぜません。
上りと下りを別々に測る
下流はネットワークから利用者へ、上流は利用者からネットワークへ進む方向です。ADSL、CATV、モバイル等は上りと下りの容量が異なることがあります。
クラウドバックアップで上りを使い切ると、ACKやDNS、動画呼び出しパケットが待ち行列で待ち、下り中心の閲覧まで遅く感じることがあります。総量だけでなく方向別比率と負荷時遅延を見ます。
共有リソースでは一人分の比率が変動する
PON、HFC、Wi-Fi、モバイルセル、ISP上り回線、相互接続は複数利用者・流れでリソースを共有します。スケジューラー、優先度、無線品質、同時利用量によって一利用者の利用可能容量は変わります。
最大10GbpsのPONシステムでも、ONUの契約プロファイル、ポート、共有状態、ルーター、LANにより端末の実効値は異なります。最も小さい利用可能比率だけでなく待ち行列・損失も影響します。
プロトコルオーバーヘッドと再送は消えない
Ethernet、PPPoE、IP、TCP・UDP、TLS、HTTP等はヘッダーや制御メッセージを持ちます。エラーや損失があればリンク層やトランスポート層が再送し、同じペイロードを届けるため追加ビットを使います。
圧縮、キャッシュ、parallel接続、プロトコル実装によりアプリケーション体感は変わります。速度試験の数値を、任意のダウンロードファイルの転送時間へそのまま当てはめません。
速度と遅延は独立した指標
広いpipeでも最初の応答が遠ければRTTは長く、細いpipeでも近距離の小パケットはすぐ返ることがあります。Web表示やゲーム、リモートデスクトップ、動画呼び出しでは遅延、ジッター、損失も重要です。
大きなファイルの所要時間はデータ大きさ ÷ sustainedグッドプットに近づきますが、小さな要求を繰り返す処理はround tripやサーバー処理の比重が増えます。
測定条件を固定して比較する
Ethernet接続、十分な端末性能、同じサーバー、時刻、単一・multi接続、測定時間、上り下り、アイドル・負荷時遅延を記録します。Wi-Fi測定なら接続帯域、チャネル幅、信号、距離も残します。
回線速度は「どこで、どの層を、どちら向きに、どの時間幅で数えたビット/sか」と一緒に読みます。最大値と実効値の差だけで品質を断定しません。
network pathのcapacity、available capacity、bulk transfer capacityを区別し、測定方法によって異なるmetricであることを定義:RFC 5136「Defining Network Capacity」。applicationが利用できるgoodputとoverheadの説明はグッドプットも参照できます。