RDAPとは
RDAP(アールダップ)は、ドメインやIPアドレスの登録情報を、HTTPとJSONを使って取得する標準化された仕組みです。正式名称はRegistration Data Access Protocol(レジストレーション・データ・アクセス・プロトコル)です。
問い合わせ種類とURL形式、応答オブジェクト、エラー、リンク等が標準化され、従来WHOISの自由形式テキストよりプログラムで解釈しやすくなっています。ドメイン、ネームサーバー、登録主体、IPネットワーク、Autonomous System Number(オートノマス・システム・ナンバー/ASN)を扱います。
RDAPは「世界中の登録情報を一台のサーバーへ問い合わせるプロトコル」ではありません。対象ごとの権威RDAPサービスをブートストラップ情報から見つけ、HTTPSで構造化応答を取得します。

照会の流れ
IANAが公開するドメイン・IPv4・IPv6・ASN別ブートストラップデータから基底URLを選びます。
domain、nameserver、entity、ip、autnum等のパスでリソースを問い合わせます。
TLS、ステータスコード、コンテンツタイプ、リダイレクト、認証、キャッシュ方針等を扱います。
ハンドル、状態、登録主体、イベント、リンク、notices、remarks等をオブジェクト単位で解釈します。
プライバシー等で省略・置換されたフィールドと理由を応答情報から確認します。
見つからない、レート制限、認可不足等を状態と説明オブジェクトで区別します。
ブートストラップで権威サービスを選ぶ
ドメインならTLD、IPならアドレス範囲、ASNなら番号範囲に対応するRDAP基礎URLをブートストラップレジストリから探します。クライアントは対象識別子を正規化し、最も適切なサービスへ問い合わせします。
ブートストラップデータは更新されます。固定記述した古いURLだけに依存せず、キャッシュの更新時刻、HTTPS検証、リダイレクト先を管理します。紹介リンクを辿る場合もソースURLを記録します。
問い合わせ種類ごとにオブジェクトが違う
ドメインオブジェクトは名前、状態、ネームサーバー、DNSSEC、登録主体、イベント等を持ちます。IPネットワークオブジェクトは開始・終了アドレス、IPバージョン、名前、種類、国、親リンク等、autnumオブジェクトはASN範囲と登録主体・イベント等を持ち得ます。
登録主体オブジェクトは、登録者、レジストラ、技術連絡先、不正利用窓口などの役割で、他のオブジェクトから参照されます。jCard形式の連絡情報は配列構造なので、表示名だけを抜き出すと役割や非表示化の情報を失います。
リンクは次に参照する関係
リンクメンバーは自身、関連、代替、利用規約等の関係とURL、メディアタイプを示します。単なる文字列URLの一覧ではなく、関係を読んで用途を判断します。
別レジストリ、レジストラ、親・子リソースへの関係が返る場合があります。すべてのリンクを無制限に総当たり取得せず、必要な関係、ホスト、深さを限定します。
イベント・状態・noticesを一緒に読む
イベントは登録、最終変更、expiration、転送等の操作とdateを表します。同じリソースへ複数種類のdateがあるため、最も新しい値一つを「更新日」として潰しません。
状態はドメイン・リソースの状態、noticesは応答全体の利用条件・法的通知・案内等、remarksは特定オブジェクトに関する補足です。titleだけでなくdescriptionとリンクを保存します。
非表示化と認証
パブリック応答ではプライバシー上のデータが非表示化され、認証済み・権限付きクライアントへ追加フィールドが提供される設計も可能です。空フィールド、メンバー欠落、明示的な非表示化は同じ意味ではありません。
認証できても利用目的による認可が必要です。トークンをURLやログへ残さず、最小権限の特権、保存期間、監査を設定します。
HTTP状態とRDAPエラーオブジェクト
成功応答だけでなく、HTTPエラー状態とエラーコード、title、description、リンク等を持つエラー応答が定義されています。404は対象なし、429はレート制限の可能性など、状態と本文を合わせます。
HTMLエラーページやプロキシエラーが返る場合もあるため、状態だけでなくContent-TypeとJSON解析結果を確認します。レート制限時はRetry-After等を尊重し、並列問い合わせ数を減らします。
WHOISより機械処理しやすいが万能ではない
標準メンバーとJSONにより解析しやすく、HTTPS、国際化、リンク、エラー、ブートストラップ等が改善されています。一方、レジストリ方針、提供フィールド、非表示化、更新時刻、アクセス制御の差は残ります。
RDAPデータも登録情報であり、サイト内容の安全性や人物の本人性を自動判定しません。DNS、証明書、公式連絡先、実際の契約・運用情報を別に確認します。
RDAPはブートストラップで担当サービスを見つけ、HTTPSとJSONで登録リソースを構造化取得するプロトコルです。オブジェクト種類、リンク、イベント、状態、notices、非表示化、エラーを失わずに読むことが、WHOISからの本質的な改善です。
RDAPのquery形式:RFC 9082、JSON response object:RFC 9083、IANA bootstrap:RFC 9224