Firefoxとは
Mozilla Firefox(モジラ・ファイアフォックス)は、Mozillaが開発するGecko系のオープンソースWebブラウザです。ChromiumやWebKitとは別系統のエンジン実装を持ち、Windows、macOS、Linux、Android等で提供されます。
Firefoxという製品の中で、Gecko(ゲッコー)はHTML・CSS・DOM、ネットワーク、JavaScript、グラフィックス、IPC等を含む広いプラットフォームとして説明されます。JavaScriptエンジンはSpiderMonkey(スパイダーモンキー)、ネットワーク層はNecko(ネッコー)です。
Geckoを「画面を描くだけの部品」と考えると範囲を狭く見積もります。Firefoxの内部資料ではWebプラットフォーム全体を支える多数の構成要素を含みます。

内部を六つの担当へ分ける
タブ、アドレス欄、ブックマーク、プロファイル、プライバシー、add-on、更新をまとめます。
DOM、スタイル、レイアウト、グラフィックス、セキュリティ、IPC等の広い基盤です。
ソースを解析・コンパイルし、不要データ収集と実行時を管理します。
HTTP、キャッシュ、DNS、プロキシ、ソケット等を抽象化して提供します。
親、コンテンツ、GPU、ソケット等へ役割を分け、IPCで連携します。
公開ソース、不具合tracker、試験、レビューを通じて構成要素を改善します。
Geckoはレンダリングエンジンより広い呼び方
HTML解析器がDOMを作り、CSS連鎖とレイアウトがフレーム・表示一覧を作り、グラフィックス層が描画します。これだけならレンダリング処理経路ですが、Geckoのアーキテクチャー説明にはNecko、SpiderMonkey、IPC、DOM API等も含まれます。
そのため「FirefoxのレンダリングエンジンはGecko」という日常表現は通じても、内部構成要素を学ぶ場面ではGecko=レイアウトだけと置き換えません。
SpiderMonkeyとイベントループの境界
SpiderMonkeyはECMAScript言語を実装し、JITコンパイル、オブジェクト、不要データ収集等を担います。一方、DOMイベント、タイマー、ネットワークコールバック、処理待ち行列はブラウザーホストであるGecko側と連携します。
JavaScriptが一時停止して見えるときも、スクリプト計算、main-threadレイアウト、ネットワーク待ち、拡張、不要データ収集で原因は異なります。性能ツールの主要スレッド、ネットワーク、メモリーを分けて読みます。
マルチプロセスとFissionでサイト境界を強める
FirefoxはUIや強い権限を持つ親処理と、Webコンテンツを扱うコンテンツ処理等を分けます。Fission(フィッション)はサイト分離を進め、サイト横断iframeを含む異なるサイトを処理境界で隔離します。
処理分離により、異常終了と侵害の範囲を狭められますが、IPC、共有メモリー、GPU、拡張等の境界検証も必要です。処理数が多いことだけを安全性の点数にしません。
プライバシー機能とエンジン系統は別の軸
追跡保護、コンテナー、プライベート閲覧、Cookie 分割、DNS設定等は製品方針とWebプラットフォーム実装が組み合わさります。Gecko系だから自動的に匿名になるわけではありません。
厳格な保護はサイト横断追跡を減らす一方、サインインや組み込みコンテンツを壊す場合があります。サイト単位の例外、保護報告、Cookie・保存領域状態を確認します。
独立系エンジンで検証する意味
Web 開発者がChromium系だけで検証すると、非標準動作や一実装の不具合へ依存する危険があります。Firefoxでも試すことで、Web標準に基づく実装か、特定エンジンだけの挙動かを切り分けやすくなります。
FirefoxはMozillaのブラウザー製品、Geckoは広いWebプラットフォーム、SpiderMonkeyとNeckoはその重要構成要素です。製品名とエンジン名を一語にまとめません。
GeckoがHTML rendering、Necko、SpiderMonkey、IPC、DOM等を含むMozilla platformであること:Firefox Source Docs「Gecko」。process modelとsite isolationの構造:Firefox Source Docs「Process Model」