VoLTEとは
VoLTEは、LTEのデータ通信網を使って音声通話を提供する仕組みです。正式名称はVoice over LTE(ボイス・オーバー・エルティーイー)で、ボルテと読むこともあります。
端末はLTEへ接続したあと、通信事業者のIMS(IP Multimedia Subsystem/アイピー・マルチメディア・サブシステム)へ登録します。発着信のシグナリング、コーデック合意、音声パケット、QoS、電話番号、緊急通報、ローミングをモバイルネットワークと統合します。
VoLTEは「通話アプリケーションがインターネットへ音声パケットを送るだけ」の一般VoIPではありません。通信事業者ネットワークの認証、IMS、方針、相互接続、位置・緊急サービスを一体で提供します。

発信前から終話までの六段階
- LTE添付とデータ接続SIM認証を行い、インターネット用とは別のIMS APN・Bearerを含むパケット接続を準備します。
- IMS登録端末のISIM/USIM情報とネットワーク認証を使い、IMSへ自分の連絡先を登録します。
- CallシグナリングSIPで発信・呼出・応答を伝え、SDPでコーデック、メディアアドレス、方向等を合意します。
- QoS設定方針機能が音声流れを識別し、遅延と損失を考慮したdedicated Bearer等を設定します。
- Mediaトランスポート音声をコーデックでフレーム化し、RTP/RTCP等でパケットとして双方向に運びます。
- Mobilityと終話セル間ハンドオーバー中もBearerを切り替え、終話シグナリング後にリソースとセッションを解放します。
SIP・SDPと音声メディアは役割が違う
SIP(Session Initiation Protocol/セッション・イニシエーション・プロトコル)は、発信、呼出、応答、保留、終話などセッション制御を行います。SDP(Session Description Protocol/セッション・ディスクリプション・プロトコル)は、使えるコーデックやメディア条件を記述します。
実際の音声は主にRTP(Real-time Transport Protocol/リアルタイム・トランスポート・プロトコル)で運び、RTCPで品質情報を交換します。SIP登録が成功してもメディア経路制御やQoSが失敗すれば無音になり得ます。
専用Bearerは物理的な専用回線ではない
IMSシグナリングと音声メディアには、遅延・損失・優先度に合うQoSクラスを割り当てます。同じLTE無線リソースを他トラフィックと共有しながら、スケジューラーと待ち行列で音声パケットを適切に扱います。
信号が弱い、セルが混雑、ハンドオーバーが遅い、パケット損失やジッターが大きい場合、音切れや遅延が発生します。コーデックが広帯域音声へ対応しても、エンドツーエンドで同じコーデックを使えるかは相互接続で変わります。
通話中ハンドオーバーと世代間代替処理
LTEセル間では通常ハンドオーバーで通話を維持します。LTE対象範囲から3G/2Gへ出る場合はSRVCC(Single Radio Voice Call Continuity/シングル・ラジオ・ボイス・コール・コンティニュイティ)などで回線交換音声へ引き継ぐ構成があります。
発信時に旧世代へ落とすCSFB(Circuit Switched Fallback/サーキット・スイッチド・フォールバック)はVoLTEではなく、LTEデータから旧世代音声へ切り替える方式です。3G/2G終了後はVoLTE対応が重要になります。
緊急通報とローミングには通常通話以上の条件がある
emergency呼び出しは利用者の位置、緊急機関への経路制御、優先処理、呼び出し戻るなど地域制度とネットワーク機能へ結び付きます。一般データ用VoIPアプリケーションだけで同じ機能を保証しません。
ローミング先でVoLTEを使うには、端末・ホーム・訪問済みネットワークのプロファイル、IMSローミング、相互接続、帯域対応が必要です。未対応時の代替処理先が終了していると音声だけ利用できないことがあります。
VoLTE不調では、LTEデータ可否、IMS登録、IMS APN、SIP応答、QoS Bearer、片方向メディア、コーデック、ハンドオーバー、ローミングプロファイルを順に分けます。
VoLTEがLTE access上のIMS communication serviceであり、SIP・SDP、QoS、GSMA profileを組み合わせることの確認資料:3GPP「Communication services (VoLTE/VoNR)」