RTTとは
RTTは、Round Trip Timeの略で、データが相手へ届き応答が戻るまでの往復時間です。正式名称はRound Trip Time(ラウンド・トリップ・タイム)、略語は一般に「アールティーティー」と読みます。
送信側のある時点から、対応する確認応答や返信を受け取るまでを一つの時計で測ります。経路を往復する伝搬・転送・待ち時間に、相手が返信を作るまでの時間が加わる場合があります。
RTTは距離だけで決まりません。行きと帰りの経路、各装置の待ち行列、無線の再送、相手が応答を返す速さによって変動します。

一回の標本と、通信制御に使う推定値を分ける
対応する送信と確認応答の時刻差。待ち行列の影響をそのまま受ける
観測期間で最も短い値。待ちが少ない経路の基準を推測する手掛かり
過去の標本を重み付けして急変をならし、通信制御の基準にする
標本のばらつき。再送を早過ぎず遅過ぎず行う余裕へ反映する
推定RTTと変動から計算する。RTTそのものと同じ値ではない
RTTにサーバー処理や複数往復を加えた時間で、より広い指標になる
片道遅延は、RTTの半分とは限らない
インターネットの経路制御は、送信元から宛先への道と、宛先から送信元への道を別々に選べます。上り回線と下り回線の速度、混雑、中継地も異なるため、往路20 ms・復路80 msのような非対称が起こります。
正確な片道遅延を測るには、両端の時計を十分な精度で同期させ、送受信時刻の誤差を管理する必要があります。RTTは送信側の一つの時計で測れる点が扱いやすい一方、どちら側で遅れたかは単独では分かりません。
PingのRTTと、TCP・QUICのRTTは測る通信が違う
Pingは通常、ICMP Echo 要求とEcho 応答の時刻差を表示します。TCPは実データとACK、QUICはACKフレームを対応させて、接続中のRTTを推定します。装置がICMPを低い優先度で処理する場合、Pingだけが遅く見えることもあります。
逆に、Pingが短くてもWebやゲームが同じ時間で応答するとは限りません。アプリケーションは複数回の往復、TLS、認証、サーバー処理を必要とします。目的のプロトコルと宛先で測ります。
確認応答の遅延も、標本へ含まれることがある
受信側は毎パケットへ即座にACKを返さず、まとめて確認することがあります。TCPのDelayed ACKやQUICのACK Delayは、確認応答を少し待つ仕組みです。測定した時刻差には、この待ちが含まれる可能性があります。
QUICは相手が報告する確認応答遅延を利用できますが、値を無条件には信用せず上限を設けます。PingのEcho 応答生成、OSのスケジューリング、省電力復帰なども、純粋な伝搬時間以外の成分です。
負荷中に増えるRTTは、待ち行列の膨張を示す手掛かりになる
回線が空いているときのRTTと、大きなアップロードやダウンロード中のRTTを比べます。負荷中だけ大幅に増えるなら、ルーターやモデムのキューにデータが積み上がるバッファブロートを疑えます。
ただし、無線の再送、基地局のスケジューリング、相手サーバーの混雑でも増えます。経路上の一箇所を断定せず、有線とWi-Fi、上りと下り、複数宛先、無負荷と負荷中を分けます。
RTTのばらつきとジッターは、定義を確認して比べる
ジッターは遅延の変動を表す言葉ですが、隣り合うパケット差、平均との差、分散など複数の計算方法があります。「RTTジッター」と書かれていても、ツールが何を算出したかを確認します。
平均RTTだけでは短時間の急増が隠れます。最小、中央値、95パーセンタイル、最大付近、損失を並べ、時系列も残します。再送されたパケットから曖昧なRTT標本を採らないなど、プロトコル側にも測定上の決まりがあります。
測定対象とパケット条件をそろえる
相手までの距離、接続方式、VPN、パケットサイズ、送信間隔、負荷、測定時間で結果は変わります。小さなICMPパケットが通っても、大きなデータや特定のポートが同じ経路・優先度で通るとは限りません。
宛先、プロトコル、パケットサイズ、送信間隔、試行数、接続方式、負荷状態、時刻を記録し、最小値と分布を一緒に読むと、物理的な基準と混雑時の増分を分けやすくなります。
定義と制御の確認資料:RFC 2681「A Round-trip Delay Metric for IPPM」、RFC 6298「Computing TCP's Retransmission Timer」、RFC 9002「QUIC Loss Detection and Congestion Control」