メディアコンバーターとは
メディアコンバーターは、光と電気など、異なる伝送媒体の信号を相互変換する装置です。英語表記はmedia converter(メディア・コンバーター)です。代表例は、撚り対線の1000BASE‑Tと光ファイバーの1000BASE‑SX/LXなどを中継するEthernet製品です。
一方で「メディアコンバーター」は単一のIEEE装置種別を厳密に指す言葉ではありません。製品内部はPHY間の変換、リピーター相当、二ポートMACリレー・ブリッジ、速度変換を伴う蓄積転送などがあり、動作が異なります。
外観が二端子の変換箱でも、どの層で受け直すか、速度差を吸収するか、壊れたフレームを捨てるかは製品仕様で決まるため、単なるコネクター形状変換と考えません。

内部方式により、遅延・フレーム検査・速度変換の可否が変わる
対応する物理信号を再生し、フレームをほぼ透過させる。速度・タイミング条件をそろえる
フレームを受信・検査し、必要に応じバッファーして反対ポートへ送る
蓄積転送で速度差を吸収するが、混雑時はバッファーあふれと損失が生じる
片側断をもう片側のリンクダウンへ反映し、上位機器が障害を検知できるようにする
光側は、速度・波長・ファイバー・芯数・距離を対向で一致させる
1000BASE‑SXと1000BASE‑LX、10GBASE‑SRと10GBASE‑LRのように、速度が同じでも波長、マルチモード/シングルモード、到達距離が違います。両端を同じ光PHYへ合わせ、許容されるファイバーとコネクターを使います。
二芯方式は一芯を送信、一芯を受信に使うため、TXとRXを交差させます。一芯BiDi方式は異なる送受信波長の補完ペアを対向させます。同じ波長のモジュール二個では通信できない組み合わせがあります。
銅線側の自動交渉と、光側のリンク条件を分けて確認する
銅線ポートは自動交渉で速度・全二重を決める製品が一般的です。固定設定との組み合わせや、片側だけ異なる速度へするとリンク不成立・二重方式不一致になる場合があります。フロー制御の扱いも確認します。
光ポートは方式によって自動交渉を使わず、光が受かればリンクする場合があります。銅リンクLED、光リンクLED、対向機器の速度、受光レベルを両端で記録し、片側表示だけで正常と判断しません。
リンクフォルトパススルーは、途中断を端の機器へ知らせる
光ファイバーが切れても、スイッチと変換器の短い銅線は物理的に正常です。そのままではスイッチがポートアップと見なし、通信不能に気付きにくくなります。リンクフォルトパススルーは反対媒体の断を検出し、手前側リンクも落とします。
冗長化プロトコルや監視がリンクダウンをきっかけに切り替わる構成で有効です。ただし一方向だけの光断、電源断、機種間の通知互換など挙動を実機で試します。
IPアドレスや経路は変換せず、L2リンクを延ばす
一般的なEthernetメディアコンバーターはルーターではなく、IPサブネット、TTL、NATを変更しません。両側の端末・スイッチは同じL2接続の延長として通信します。二ポートブリッジ型でも、転送範囲を新しいIPネットワークへ分けるものではありません。
VLANタグ、ジャンボフレーム、LLDP、STP、Pauseフレームなどを透過するかは最大フレーム長と実装に依存します。トンネル用途の大きなMTUを使う場合は、対応値を確認します。
変換器を二台増やすことは、電源と監視点も二つ増やす
ラックや盤内ではACアダプターの抜け、温度、埃、光コネクター汚れを管理します。遠端の変換器だけ停電すると、手元では原因が光断に見えます。可能なら管理機能、受光レベル、温度、電源監視を持つ製品を選びます。
長期運用では、変換器を外付けする構成と、スイッチの交換式光トランシーバーポートへ直接収容する構成を比較します。後者は機器と電源を減らせますが、対応モジュール条件があります。
仕様の確認資料:IEEE 802.3‑2022「Ethernet PHYs」、IEEE 802.1Q‑2022「Bridges and Bridged Networks」