SLAACとは
SLAACは、ルーター広告で得たプレフィックスを使い、端末が自分のIPv6アドレスを構成する自動設定方式です。正式名称はStateless Address Autoconfiguration(ステートレス・アドレス・オートコンフィグレーション)です。
端末へ一件ずつアドレスを貸し出すサーバーを必須とせず、端末自身がプレフィックスとインターフェースIDを組み合わせます。ただし端末はアドレスと寿命を保持するため、「どこにも状態がない」という意味ではありません。
SLAACで作るのはアドレスだけではありません。通信を始めるには、RAから知るデフォルトルーターや、別途得るDNS情報も必要です。

アドレスが使えるまでを順に追う
- 起動
リンクローカルを作る同じリンク内でルーターや近隣と話すためのアドレスを用意する
- DAD
重複を調べるtentative状態のアドレスを、同じリンクの他機器が使っていないか確認する
- RS
広告を要請する全ルーター向けマルチキャストへRouter Solicitationを送る
- RA
プレフィックスを受けるPIOのAフラグと寿命を確認し、自動生成に使える範囲を選ぶ
- 構成
IIDと結合する完成したIPv6アドレスにもDADを行い、利用可能にする
- 経路
ルーターを登録するRA送信元とRouter Lifetimeからデフォルトルーターを管理する
PIOのAフラグが、自動生成に使えることを示す
RA内のPIO(Prefix Information Option/プレフィックス・インフォメーション・オプション)には、プレフィックス、長さ、寿命、Aフラグ、Lフラグがあります。Aフラグが立ったプレフィックスを、端末がSLAACのアドレス生成へ使います。
AとLは独立しています。Aは自律的なアドレス構成、Lはそのプレフィックスを同一リンク上とみなす判断材料です。「Aが立てば必ずオンリンク」「Lが立てばSLAACできる」と読み替えません。
アドレスの寿命とデフォルトルーターの寿命は別
PIOのPreferred Lifetimeを過ぎたアドレスはdeprecated(デプリケーテッド/非推奨)となり、新規通信の送信元には選ばれにくくなります。Valid Lifetimeを過ぎると無効になり、既存通信にも使えません。
デフォルトルーターは、RAヘッダーのRouter Lifetimeで管理します。プレフィックスが有効でもデフォルトルーターがいなければ、同一リンク外へ送る経路は成立しません。
DNSとDHCPv6は、SLAACと併用できる
DNSサーバー情報は、RAのRDNSS(Recursive DNS Server/リカーシブ・ディーエヌエス・サーバー)オプション、DHCPv6、端末の固定設定などから得られます。どの方法に対応するかはOSとネットワーク構成で異なります。
SLAACとDHCPv6は排他的ではありません。アドレスをSLAACで作り、DNSなどの追加情報だけをDHCPv6で受ける構成も、DHCPv6でアドレスを配りながらRAでデフォルト経路を知らせる構成もあります。
仕様の確認資料:RFC 4862「IPv6 Stateless Address Autoconfiguration」、RFC 4861「Neighbor Discovery for IP version 6」、RFC 8106「IPv6 Router Advertisement Options for DNS Configuration」