モデムとは
モデムは、通信回線の信号を、端末やルーターが扱える形式へ変調・復調する装置です。名称はmodulator-demodulator(モジュレーター・デモジュレーター/変調器・復調器)を縮めたもので、日本語ではモデムと読みます。
送信時はビット列を回線に適した信号の変化へ対応させ、受信時はその変化からビット列を取り出します。電話線、同軸ケーブル、無線など、媒体と通信方式によって使う周波数・変調方式・同期手順は異なります。
モデムは単なる「デジタルとアナログの変換器」ではなく、回線上で情報を運べる信号を作り、乱れた信号から情報を復元する回線方式専用の終端装置です。デジタル回線でも変調を使うため、アナログ電話だけの用語ではありません。

ビットをシンボルへ対応させ、受信側で判定し直す
- 送信ビットを符号化
誤り訂正用の情報を加え、複数のビットを送信用シンボルへまとめる
- 変調搬送波を変化
回線で使える周波数帯へ割り当て、出力レベルを規則内に整える
- 回線減衰・雑音を受ける
距離、配線、混信によって信号が弱まり、形が崩れる
- 復調同期して判定
タイミングを合わせ、等化でひずみを補い、元のビットを復元する
接続開始時に、相手と回線の状態を測って使い方を決める
多くのモデムは電源投入後、局側装置や相手モデムを検出し、利用できる周波数、信号レベル、速度などを調整します。これをtraining(トレーニング)や同期確立と呼びます。回線の周波数ごとの減衰差はequalization(イコライゼーション/等化)で補います。
雑音が増えると誤り訂正で回復できる範囲を超えないよう、より頑健で低速な信号へ切り替えることがあります。表示上の同期速度は回線区間の値で、プロトコルの制御情報、再送、混雑を差し引いた実効速度ではありません。
「モデム内蔵ルーター」では、別の役割が一つの箱に入る
モデム部分は回線信号を終端します。その先でルーター機能がIPパケットの経路を選び、NATやDHCP、ファイアウォールを処理します。外観が一台でも、この二段階は分けて考えます。
bridge mode(ブリッジ・モード)では、内蔵ルーター機能を抑えて回線側接続を後段ルーターへ渡します。反対に二台ともルーターとして動かすと、NATが二重になり、ポート開放や一部の通信で問題になることがあります。
DSL用、ケーブル用、無線用は相互交換できない
DSLモデムは電話線、ケーブルモデムは同軸網、セルラーモデムは携帯無線網の物理・リンク方式に合わせて作られます。同じEthernet端子が付いていても、回線側のプロトコル、周波数、事業者登録が違えば接続できません。
ONUを日常会話で「光モデム」と呼ぶことがありますが、PONではOLTとの登録、時分割送信、光分配網の終端を行います。機器を交換するときは通称ではなく、回線方式と事業者の指定を確認します。
不調は、回線同期と家庭内接続を分けて確認する
電源、回線同期、オンライン登録、Ethernetの各ランプを説明書と照合します。回線同期が消えていれば、宅内配線、分配器、局側設備など回線区間を疑います。同期しているのに通信できなければ、事業者認証、後段ルーター、IP設定へ範囲を移します。
再起動は状態を取り直せますが、頻繁なリンク切断の原因を直すものではありません。信号レベル、同期速度、エラー数を管理画面で確認できる場合は、発生時刻とともに記録して事業者へ伝えます。
仕様の確認資料:ITU‑T V.250「Serial asynchronous automatic dialling and control」、Broadband Forum TR‑124 Issue 9「Functional Requirements for Broadband Residential Gateway Devices」