CGNATとは
CGNATは、通信事業者のネットワーク内で多数の利用者のIPv4通信をまとめ、少数のグローバルIPv4アドレスを共有する大規模なアドレス変換です。正式名称はCarrier-Grade Network Address Translation(キャリア・グレード・ネットワーク・アドレス・トランスレーション)です。
CGNATは、通信事業者のネットワーク内で多数の利用者のIPv4通信をまとめ、少数のグローバルIPv4アドレスを共有する大規模なアドレス変換です。
Large-Scale NAT(ラージ・スケール・ナット)とも呼ばれます。家庭用ルーターのNAPTと原理は近いものの、変換装置を利用者ではなく通信事業者が管理し、異なる契約者どうしが外部アドレスを共有する点が重要です。

事業者網の内側では、共有アドレス空間が使われる
CGNATと利用者側のルーターを結ぶため、100.64.0.0/10がShared Address Space(シェアード・アドレス・スペース)として予約されています。範囲は100.64.0.0から100.127.255.255までです。
この範囲はインターネット全体へ経路広告するものではなく、複数の事業者網で再利用できます。しかし、プライベートIPv4アドレスの10.0.0.0/8などとは別の特別用途です。家庭や社内LANで自由に使う一般的なプライベート範囲として割り当てるものではありません。
外部から見えるアドレスだけでは、利用者を一意に示せない
100.64.12.10:52001→203.0.113.20:41001100.64.18.22:53002→203.0.113.20:41002100.64.25.30:54003→203.0.113.20:41003公開IP送信元ポート正確な時刻の組で対応記録を照合
家庭用ルーターだけでは、外部着信を完成できないことがある
利用者が管理できるのは通常、自宅のルーターまでです。そこでポート転送を設定しても、事業者側CGNATに外部から始まる通信の対応がなければ、自宅のルーターまでパケットが届きません。自宅サーバー、見守り機器、対戦ゲーム、P2P、VPNなどに影響する場合があります。
ただし、CGNATを使っているだけで、これらが必ず動作しないとは限りません。アプリが中継サーバーを利用する、端末側から通信を開始する、IPv6を使うなど、接続方式によって結果は変わります。問題を調べるときは、表示された外部IPv4アドレスと、ルーターのWAN側IPv4アドレスが一致するかも手掛かりになります。
IPv6通信は、同じCGNATを通るとは限らない
IPv6には広いアドレス空間があり、各接続へグローバルIPv6プレフィックスを割り当てられます。ネイティブIPv6通信は、IPv4用CGNATを通らずに転送される構成が一般的です。その場合でも、ファイアウォールが外部着信を制御します。
一方、IPv4通信をIPv6網上で運ぶ接続方式では、事業者側の変換設備を利用することがあります。画面にIPv6アドレスがあるだけで「CGNATではない」と断定せず、IPv4とIPv6を分けて経路を確認します。
仕様の確認資料:RFC 6598「IANA-Reserved IPv4 Prefix for Shared Address Space」、RFC 6888「Common Requirements for Carrier-Grade NATs」