ICMPv6とは
ICMPv6は、IPv6通信のエラー通知、診断、近隣探索などを運ぶ不可欠な制御用プロトコルです。正式名称はInternet Control Message Protocol for IPv6(インターネット・コントロール・メッセージ・プロトコル・フォー・アイピーブイシックス)です。
送れなかった理由を送信元へ返すエラーメッセージと、問い合わせ・応答などの情報メッセージがあります。IPv6ヘッダーのNext Header値では58で識別されます。
ICMPv6はpingだけの通信ではありません。すべて遮断すると、大きすぎるパケットの調整や近隣探索が働かず、IPv6通信そのものが壊れます。

エラーと情報メッセージを分けて読む
Packet Too Bigは、IPv6の経路MTU調整に欠かせない
IPv6ルーターは転送途中でパケットを断片化しません。次のリンクのMTUより大きいパケットを受けると破棄し、Packet Too BigへそのリンクのMTUを入れて送信元へ返します。
送信元は通知を基に送信サイズを小さくするか、必要なら送信元でFragment拡張ヘッダーを使います。この通知がファイアウォールで失われると、小さい通信は通るのに大きいWeb応答やVPNだけ止まる、という症状が起き得ます。
エラーを返してはいけない場面もある
エラーメッセージへさらにエラーを返すと無限連鎖になるため、ICMPv6エラーに対して原則として別のICMPv6エラーを生成しません。マルチキャスト宛てパケットへのエラーにも制限がありますが、Packet Too Bigなど例外があります。
受信したエラーを無条件に信じて通信状態を変更すると攻撃に利用されます。実装は、引用された元パケットが実際の通信に対応するかを確認し、到達不能通知などの処理範囲を制限します。
NDPとMLDも、ICMPv6のメッセージ形式を使う
NDPのRS・RA・NS・NA・RedirectはICMPv6のType 133〜137です。IPv6マルチキャストの参加状態を管理するMLD(Multicast Listener Discovery/マルチキャスト・リスナー・ディスカバリー)もICMPv6メッセージとして定義されます。
したがってファイアウォールでは「ICMPだから不要」とまとめて拒否せず、RFC 4890などを基に、境界・端末・ルーターの役割ごとに必要なTypeとCodeを許可します。Echo 要求を拒否する判断と、Packet Too BigやNDPを拒否する判断は分けます。
仕様の確認資料:RFC 4443「Internet Control Message Protocol for IPv6」、RFC 8200「Internet Protocol, Version 6 Specification」、RFC 4890「Recommendations for Filtering ICMPv6 Messages in Firewalls」