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ASN

ASNとは

ASN(Autonomous System Number/オートノマス・システム・ナンバー/エーエスエヌ)は、インターネット上の一つの自律システムを識別する番号です。

自律システムは、共通の経路制御方針で運用されるIPネットワークのまとまりです。外部のネットワークとBGPで経路を交換するとき、名前ではなくASNで「どの運用単位が経路を発信・中継したか」を表します。

ASNはサーバー一台、契約一件、ドメイン一個へ付く番号ではありません。外部経路制御上の運用単位を識別する番号です。

ネットワークごとの識別番号が経路の通過履歴を作る発信元、経由順、ループの有無をBGPがASNの列として扱う
異なる識別番号を持つ複数の自律システムが経路を交換し、通過順を並べて経路選択とループ防止に使う様子を示すピクトグラム図解
図1経路情報には到達先プレフィックスだけでなく、どのASを経由したかを示すAS_PATHなどの属性が付きます。

32ビットの番号空間

現在のASNは32ビットで、0から4,294,967,295まで表せます。ただし全範囲を自由に使えるわけではなく、文書用、プライベート用、予約済みなどの範囲があります。

画面や文書では整数一個で書くasplain(エーエスプレイン)が一般的です。古い仕組みでは高位16ビットと低位16ビットを点で分けるasdot(エーエスドット)表記も見かけます。同じASNを別の表記で示す場合があるため、単純な文字列比較だけで別番号と判断しません。

公開ASNとプライベートASN

公開ASNインターネット全体で一意

RIRなどが登録し、外部BGPで識別子として使います。

16ビットの私用範囲64512–65534

閉じた接続や上位事業者内で使い、インターネットへそのまま広げません。

32ビットの私用範囲4200000000–4294967294

同様に局所利用向けで、別組織との重複を前提にします。

予約済み利用目的を限定

文書例、移行、プロトコル用途などのため一般割り当てから除かれます。

プライベートASNはプライベートIPアドレスと同じく、閉じた範囲なら再利用できます。複数ネットワークを接続すると重複する可能性があり、外部へ広告する前に上位事業者が削除・置換する設計が必要です。

BGPでASNが果たす三つの役割

  1. 発信元を示すプレフィックスを最初にインターネットへ広告したASが、AS_PATHの末尾に現れます。
  2. 通過経路を示す経路広告を中継するASが自分のASNを追加し、経路の履歴を作ります。
  3. 経路のループを避ける自分のASNがすでにAS_PATHにあれば、同じ経路が戻ってきたと判断して受け入れません。

AS_PATHが短い経路が優先される場合はありますが、常に最短だけで決まりません。ローカル優先度、MED、コミュニティ、契約関係など複数の方針が選択に関わります。

ASNを受ける必要がある場面

独自の経路制御方針を持ち、二つ以上の外部ネットワークへ接続するマルチホーミングや、インターネット全体へ自組織のプレフィックスを広告する場合が代表例です。単一ISPの利用者が提供者の経路方針に従うだけなら、独自ASNを持たない構成も多くあります。

申請条件はRIR・NIR方針で確認します。番号が不足しているかどうかだけでなく、外部BGPを独立運用する技術的必要性、連絡体制、プレフィックス計画などが問われます。

ASNから読み取れること・読み取れないこと

WHOIS・RDAPでは登録組織や連絡先、BGP観測では広告プレフィックスや隣接関係の一部を調べられます。しかし一つのASNに多数の会社・サービス・利用者が含まれ、組織も複数ASNを持てます。ASNだけで通信相手の個人、サーバーの所在地、サービスの安全性は断定できません。

RPKIのROAは「このプレフィックスの発信元としてこのASNを認める」という署名情報です。AS_PATH全体の正当性や、組織が善良かどうかを保証する仕組みではありません。

ASNは外部経路制御の運用単位を識別する32ビット番号です。BGPはASNを発信元・経由履歴・ループ検出に使いますが、IPアドレス、ドメイン、法人番号、サーバー番号の代わりではありません。

ASとASNの基本:RFC 1930/32ビットASN:RFC 3779

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