脆弱性とは
脆弱性は、設計や実装、設定の不備により、攻撃や意図しない操作を許す可能性がある弱点です。英語ではvulnerability(ヴァルネラビリティ)と表します。
ソフトウェアのコードだけでなく、既定パスワード、広すぎる権限、公開範囲、運用手順、依存ライブラリー、ハードウェア・ファームウェアにも存在します。
弱点があること、悪用手法があること、実際に侵害されたことは別です。脆弱性、攻撃手法、インシデントを段階として分けます。

弱点が生まれる場所
認証なしで重要操作を許す、信頼境界がない、秘密をクライアントへ渡すなど。
メモリー安全性、入力処理、認可確認、暗号利用の誤りなど。
既定認証情報、全公開、デバッグ有効、過剰権限、弱いTLSなど。
アカウント未削除、パッチ遅延、ログ未監視、バックアップ未検証、秘密共有など。
ライブラリー、コンテナー画像、プラグイン、ファームウェア、サービス事業者の弱点を継承する。
不具合すべてがセキュリティ脆弱性ではない
表示のずれや計算誤差も不具合ですが、攻撃者がセキュリティ特性を破れるとは限りません。逆に仕様どおりでも、認可設計が不十分なら脆弱性です。
機密性・完全性・可用性、認証・認可、プライバシー、安全性へどんな影響を与えるかを確認します。
CVEは識別子、CVSSは評価尺度
CVE(Common Vulnerabilities and Exposures/コモン・ヴァルネラビリティーズ・アンド・エクスポージャーズ)は公知の脆弱性へ識別子を付けます。CVEがない弱点や設定不備もあります。
CVSS(Common Vulnerability Scoring System/コモン・ヴァルネラビリティ・スコアリング・システム)は技術的深刻度を共通尺度で表します。評価値だけで自組織の優先順位は決まりません。
自組織でのリスクを重ねる
対象製品・バージョンを使っているか、危険機能が有効か、攻撃経路から到達できるか、必要権限、パブリック攻撃手法とアクティブ悪用、保護制御、扱うデータ、停止影響を見ます。
資産台帳とSBOMがなければ、ライブラリーの脆弱性がどのアプリケーションへ含まれるか追えません。所有者と公開範囲を記録します。
スキャン結果は存在証明とは限らない
バナー情報やバージョンから推定するスキャナーは、バックポート済み修正を未修正と判定したり、隠れた部品を見逃したりします。パッケージリリース、ベンダー助言、実設定で確認します。
認証付きスキャン、設定評価、コード分析、侵入試験試験は見える範囲が違います。
修正はパッチだけではない
アップグレード、設定変更、機能停止、ネットワーク制限、権限縮小、構成要素削除、サービス置換で弱点を除去・緩和できます。WAF規則などは攻撃経路を減らしますが、ルート原因を消さない場合があります。
例外を受け入れる場合は所有者、理由、期限、代替制御、監視、再評価日を残します。
修正後に再検証する
バージョン表示だけでなく、危険な入力・経路が再現しないこと、設定が全インスタンスへ届いたこと、再起動が完了したことを確認します。クラウド画像や停止中端末が古いまま残ることがあります。
脆弱性管理は評価値順の一覧処理ではありません。資産・露出・悪用状況・業務影響を重ね、修正後に到達経路が閉じたことまで確認する周期です。
vulnerabilityの定義と識別の確認資料:NIST CSRC Glossary「Vulnerability」、CVE Program「CNA Rules」