用語辞典・メール

フィッシングメール

フィッシングメールとは

フィッシングメールは、正規の組織を装ったメールなどで偽サイトへ誘導し、認証情報や金銭を狙う詐欺です。英語のphishing(フィッシング)は、信頼させる餌で情報を釣り上げる攻撃を指します。

狙われるのはパスワードだけではありません。クレジットカード、振込、本人確認書類、ワンタイムコード、承認操作、暗号資産、ブラウザーのセッションなどが対象になります。メールから電話、SMS、チャットへ移動させる複合型もあります。

誤字がない、ロゴが正しい、HTTPSで鍵が出る、送信ドメイン認証が通過した、という一項目だけでは正規と断定できません。確認の中心は「本当にその組織の正しい入口か」です。

本物に似た通知が偽の入口へ誘導し、入力した秘密や承認操作を攻撃者へ渡す見た目の似ている画面ではなく、独立して開いた公式経路で確かめる
正規窓口に似せた偽の案内板が利用者を別経路へ曲げ、鍵や決済情報を網で捕らえようとするフィッシングメールのピクトグラム図解
図1リンクを開いた後の画面が精巧でも、入口のドメインやアプリが別なら正規の処理ではありません。

攻撃は「焦らせる通知」から秘密の取得まで続く

心理的な誘導と技術的な偽装を連続させ、考え直す時間を奪う連鎖のどこかで止めれば、その先の被害を防げる
01口実を作る

支払失敗、配送保留、容量超過、不正ログイン、緊急の社内依頼などを装う。

02信頼を借りる

実在名、ロゴ、過去の会話、乗っ取ったアカウント、よく似たドメインを使う。

03別の入口へ誘う

リンク、ボタン、QRコード、添付、電話番号、返信先で攻撃者の経路へ移す。

04秘密や操作を求める

パスワード、カード、コード、MFA承認、送金、アプリ導入、文書のマクロを要求する。

05正規サービスで悪用する

取得した情報をすぐ入力し、セッション作成、送金、転送設定、回復先変更を行う。

06次の攻撃へ広げる

連絡先や過去メールを使い、本人になりすまして取引先や家族へ送る。

図2QRコードもURLの代わりです。スマートフォンで読み取るとリンク先を見比べにくくなるため、通知から直接使いません。

アドレス表示は完全な送信元証明ではない

画面の差出人名は自由に書けます。ヘッダーFromのアドレスも、その文字列だけで本人確認にはなりません。SPF、DKIM、DMARCはドメインとの関係を確かめますが、攻撃者が自分で取得した似たドメインなら正しく通過できます。

正規企業の配信基盤や利用者アカウントが侵害されたメールは、本物のドメインから届く場合があります。そのため、メールの真正性と、メールが要求する操作の正当性は分けて確認します。

リンク先は文字、経路、目的を分けて見る

表示文字と実際のリンク先は異なる場合があります。短縮URL、リダイレクト、国際化ドメイン、似た字形、長いサブドメインで正規名を紛れ込ませる手口もあります。スマートフォンでは長いURLが省略されるため、長押し表示だけで安全と断定しません。

HTTPSは、端末とその接続先の間を暗号化し、証明書の名前を検証する仕組みです。攻撃者も自分の偽サイトに正規の証明書を取得できます。鍵マークは「そのURLの通信が保護されている」ことを示し、「その組織の本物のサイト」を自動で示すものではありません。

メールとは別の入口から確認する

請求、配送、アカウント異常の通知を受けたら、メールのボタンを使わず、以前から使っている公式アプリ、保存済みブックマーク、自分で入力した公式サイトから状態を確認します。社内依頼なら、既知の電話番号や別のチャットで本人へ聞きます。

パスキーやFIDO系のフィッシング耐性を持つ認証は、正しいサイトの識別情報と結び付くため強力です。パスワードマネージャーがいつもの資格情報を自動入力しないことも重要な警告ですが、手入力で回避してはいけません。

添付、返信、電話にも入口がある

添付ファイルに偽のログインボタンを置く、HTMLファイルで偽画面をローカル表示する、請求書を装ってマクロを有効にさせる手口があります。返信すると、メール外の決済や秘密の送付へ会話を誘導されることがあります。

記載されたサポート番号へ電話をかけさせ、遠隔操作ソフトを入れさせる攻撃もフィッシングの延長です。確認には、契約書、カード裏面、公式サイトなど、メールと独立した情報源の番号を使います。

入力・承認してしまった後は速度が重要

まず偽画面での操作を止め、別の信頼できる端末または公式アプリから、該当サービスのパスワードを変更します。同じパスワードを使った他サービスも別々の値へ変更し、既存セッションの失効、回復先、MFA、転送規則、連携アプリを確認します。

カードや振込なら金融機関の公式窓口へ連絡し、会社のアカウントなら管理者・セキュリティ窓口へすぐ報告します。マルウェアを実行した疑いがあれば端末を業務ネットワークから切り離し、組織の手順に従います。証拠用に時刻、差出人、URL、画面を残しますが、秘密情報を公開場所へ貼りません。

削除だけで終えず、渡したものに応じて「資格情報」「セッション」「金銭」「端末」の四方向を確認します。

フィッシング対策の確認資料:NIST Phishing GuidanceNIST SP 800-177 Rev.1(Trustworthy Email)RFC 9989(DMARC)

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