用語辞典・メール

迷惑メール

迷惑メールとは

迷惑メールは、受信者が望んでいない広告や大量送信など、迷惑と判断されるメールです。英語のspam(スパム)は、特に同じ内容を多数へ送り付ける行為やメールを指します。

違法かどうか、悪意があるかどうかだけで決まる分類ではありません。申し込んでいない広告、解除後も届く案内、送信頻度が過剰な通知、偽装や詐欺を含むメールなど、受信者の期待と送信方法の両方が関係します。

迷惑メール、フィッシング、マルウェア付きメールは同義ではありません。ただし一通が複数に当てはまることはあります。

送信元、認証、送信量、ヘッダー、内容、利用者の報告を重ねて受信箱と隔離先へ振り分ける一つの単語や認証結果だけで判定しない
大量の封筒が複数の検査ゲートを通り、通常の受信箱、要確認、迷惑メール箱へ分かれる迷惑メール判定のピクトグラム図解
図1判定は確率的です。正規メールを隔離するfalse肯定と、迷惑メールを通すfalse否定の両方をゼロにはできません。

「望んでいない」と「大量送信」を分けて考える

受信者が自分で購読した案内でも、送信者を忘れたり頻度が期待を超えたりすれば迷惑に感じます。反対に、同じ内容を多数へ送っていても、明確な同意と適切な解除手段があり、必要な通知として期待されている場合があります。

RFC 2505は、迷惑な大量メールを扱う際、受信側だけでなく、中継の制限、送信経路の追跡、管理窓口、利用規約など運用全体を重視しています。「怪しい語を含むか」だけの問題ではありません。

受信までに複数の判定を重ねる

接続した時点の情報から、受信後の利用者フィードバックまでを段階的に利用する各層の弱点を別の層で補う
  1. 01
    接続元と送信挙動

    IP評判、急な送信量、宛先の失敗率、接続回数、レートを評価する。

  2. 02
    送信ドメインの認証

    SPFDKIMDMARCの結果と整合を見る。

  3. 03
    配送ヘッダーの一貫性

    From、Return-Path、Received、日時、メッセージ識別子の不自然な組み合わせを調べる。

  4. 04
    本文と添付の特徴

    URL、誘導表現、難読化、危険な添付、既知の攻撃パターンを検査する。

  5. 05
    過去の関係と利用者操作

    連絡履歴、購読、既読・削除・迷惑報告など、受信者ごとの文脈を使う。

  6. 06
    隔離後の再評価

    新しい脅威情報、管理者調査、誤判定報告を反映して分類を更新する。

図2同じメールでも、受信サービス、利用者の履歴、時点によって結果が変わる場合があります。

認証が通っても内容が安全とは限らない

SPF、DKIM、DMARCは、指定ドメインとの関係や改変の有無を検証します。正規の広告配信、乗っ取られたドメイン、攻撃者自身が所有するドメインでも認証は通り得ます。認証通過は「この内容を望んでいる」「リンクが安全」という判定ではありません。

逆に、転送やメーリングリストによる変更で正規メールの認証が崩れることもあります。受信側は認証結果を重要な手掛かりにしつつ、送信履歴と内容を合わせます。

報告、ブロック、購読解除は使い分ける

知っている事業者から届いた正規の案内を止めたいなら、メールアプリが提供する購読解除、または公式サイトの設定画面を使います。RFC 8058のone-click方式では、対応するメーラーと配信者が安全な解除要求をバックグラウンドで行えます。

差出人やリンクが疑わしいフィッシングメールでは、本文中の「配信停止」も罠になり得ます。リンクを押さず、サービスの迷惑報告・フィッシング報告を使います。単なるブロックは、その表示アドレスからの今後の表示を抑える操作で、送信元全体の調査とは異なります。

迷惑メール箱にも保存期限がある

隔離先は安全な保管庫ではありません。一定期間後に自動削除され、外部画像や添付を開けば追跡や攻撃が起こり得ます。誤判定を直すときも、送信者、件名、予定していた連絡、公式サイト上の履歴を確認してから受信箱へ戻します。

大量の通知を一括して通常扱いにすると、将来の判定へ悪い学習を与える場合があります。必要な一通だけを戻し、送信者が本当に同じかを確認します。

送信側は同意と解除可能性を記録する

正規の配信者は、誰が、いつ、何へ同意したかを記録し、到達可能な連絡先を示し、解除要求を速やかに反映します。無効宛先へ送り続けず、バウンスを処理し、急な送信量の変化を避けます。

受信者には「望まないメールを安全に止められること」、送信者には「望む人だけへ、識別可能な形で送ること」が必要です。

迷惑メール対策の確認資料:RFC 2505(Anti-Spam Recommendations)RFC 8058(One-Click Unsubscribe)RFC 7489(DMARCの従来仕様)

関連用語