DFSとは
DFSは、気象・航空レーダーと共用する5GHz帯で、レーダー検知時にチャンネルを変更する仕組みです。正式名称はDynamic Frequency Selection(ダイナミック・フリークエンシー・セレクション)、読み方はディーエフエスです。
5GHz帯の一部は、気象レーダーや航空レーダーなど、保護すべき既存システムと周波数を共用します。Wi‑Fiのアクセスポイントはレーダー信号を監視し、検出したチャンネルで送信を続けないようにします。
DFSによる停止やチャンネル変更は、混雑を避ける便利機能ではなく、レーダーを優先して保護するための必須動作です。利用者が速度のために検出を無効化してよい機能ではありません。

利用開始前と利用中で、監視の段階が異なる
- 1チャンネル可用性確認
CAC中は対象チャンネルを受信監視し、レーダーが存在しないか確認する
- 2通常利用と運用中監視
Wi‑Fi通信を行いながら、規定されたレーダーパターンを継続して検出する
- 3送信停止と退避
検出時は対象チャンネルでの送信を止め、端末へ移動を案内して離れる
- 4別チャンネルを選択
利用可能な候補で必要な確認を行い、APと端末の通信を再開する
日本ではW53・W56がDFSの対象になる
5GHz帯のうち、日本でW53とW56と呼ぶ範囲はDFSを必要とします。W52はDFS対象ではありませんが、屋外利用を含む条件は別に定められています。利用場所と機器の対応モードを確認します。
DFS対象には多くのチャンネルがあるため、周辺Wi‑Fiが少ないことがあります。その代わり、AP起動後の待ち時間や、レーダー検出時の変更を受け入れる必要があります。
APは移動を案内できるが、端末の再接続時間は一定ではない
レーダーを検出すると、APはChannel Switch Announcementなどで新しいチャンネルを案内して移動できます。対応端末は案内に従いますが、フレームを受け取れなかった端末や古い端末は、APを見失った後に再探索します。
そのため音声通話やゲームでは短い途切れが見えることがあります。APが消えた時間と、管理画面に残るDFSイベントを照合すると、回線障害や再起動と切り分けやすくなります。
誤検出に見えても、利用者だけで断定しない
レーダー検出器は規定された信号パターンを判定します。近隣機器の信号や電気的ノイズが似た形を作り、利用者からは実際のレーダーが見えないこともあります。ただし、ログだけで直ちに機器故障や誤検出と断定できません。
頻繁な切り替えが利用に合わない場合、DFS対象外チャンネル、2.4GHz、6GHzを含めた設計を検討します。利用可能チャンネルを減らすと混雑が増えるため、切断の少なさと周波数の再利用を両方測る必要があります。
仕様・利用条件の確認資料:IEEE 802.11-2024、総務省 電波利用ホームページ「5GHz帯無線LANの屋外利用」